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4-9-3.


 今しがた、おっぱい、太ももと由佳の肉体による濃密な破壊を堪能させてもらったが、
今回は「破壊の方法」に、特にこだわってリクエストをしている。
自分に考えられるだけのアイデアを由佳にそのまま実行してもらおうとするのが、今回のプレイだ。
豪華客船に跨って沈没させたのも、大艦隊をいとも簡単に蹴散らせるようにしたのも、
1000倍に再巨大化して大都市を薙ぎ払ってもらったのも、すべて事前に考えてあった蹂躙プランだった。
今日は、色々と数多くの趣向を凝らしたプレイを由佳にしてもらっている。
が、それでも、これまで温めてきたプランの数からすると少ない。
まだまだやってもらいたい破壊の方法はいくらでもあるのだ……



                                                            *



 空港の対岸側のまだ破壊されずに残っている連絡橋。
それを脚の間に挟むようにして、海中にそびえ立つ由佳。
片手を腰に当てて、蔑むような目付きで、真下にある橋を見下ろしている。
奉仕と服従の象徴であるメイドさんの格好しているのとは対照的に、かなり尊大なポーズだ。
(小人に対しては、上から目線の高飛車で尊大で理不尽にまでの暴君。なのに、仕えるご主人さまに対してだけは、素直で従順。そして、可愛らしく、愛おしい。
これが「巨大メイドさん」の魅力なんだよな……これだけでも贅沢だってのに由佳にやってもらってるわけだし、もうそりゃ、タマンないわけで……ウケケケ……)
あまりの興奮に感動を述べるボキャブラリーが随分と貧しく、そして品がなくなっていた。
(おっと……由佳に次の指示をしてあげないと……)
天国のような光景にうつつを抜かしていた智之がようやく正気に戻った。



 「それじゃ、少し前屈みになって、両手で橋を鷲掴みにできるような体勢をとって……」
「うん……分かった……」
由佳は、智之に言われた通りの姿勢になり、橋梁に手に宛てがった。
ここまで大きくなっているとこんなに大きな橋でさえも片手で簡単に鷲掴みにできてしまう。
「こういう感じ……?」
「うんうん、それでいいよ」
智之が満足気に返事をする。
由佳は出来るだけ手に力を入れないようにして、橋を握りしめた。
橋はミシミシと音を立て、軋み始める。
手で掴む。たったそれだけでも、もう橋は今にも壊れてしまいそうになっている。
力加減を間違えてしまえば、橋はあっという間に海の藻屑と化してしまうだろう。
「由佳、怪獣みたいでかわいいよ」
「なっ……怪獣って……ううぅー」
「大丈夫だって。なにせ今のは褒め言葉だから。いやーホント、おっきくてかわいいなー。
オレ、でっかい女の子好きだしさ。巨大メイド怪獣由佳か……うん、すばらしい!」
「う〜全然、嬉しくない……」
智之は褒めるつもりで言い放った。
もちろん、由佳が「怪獣みたいでかわいい」というのも心の底からそう思ってはいる。
その上での発言だが、歪みに歪みまくっている智之自身の価値観が由佳と一致しているわけがない。
さすがに女の子に向かって、しかも破壊行動に及んでいる最中に「怪獣みたいでかわいい」と言ってしまっては喜ばれるはずがない。
もっとも智之はそれを十分に承知の上で、言っているのだが……
「由佳がオレの言うことを素直に聞いてくれてて嬉しいな」
「むー……それに、智之のわがまま聞いてくれる娘なんて、他にはいないんだからね……多分だけど……」
「もちろんオレには由佳しかいないって、十分に分かってるから……」
「なら、いいけど……」
(ここで『プリプリしてる由佳もかわいいなー』……なんて口にしたら、由佳になんて言われるか分からないし。
出来れば、その怒りを自分自身にではなく小人の街にぶつけて、滅茶苦茶にしてくれたりするとうれしいんだけど……)
由佳のことだから、段々とノリノリで暴れてくれるんじゃないかと期待はしている。
本人は否定しているが、所々に巨大化を楽しんでいる素振りが見受けられるので、可能性は十分にあるのだ。
(これから先、由佳がどれだけ変わっていくかも楽しみだな……)


 「ほらほら、橋をそのまま持ち上げてみせて……」
橋脚に近い部分を鷲掴みにして持ち上げようとすると、海底に固定されていた橋の基礎部分ごとそのままの状態で引き剥がしてしまった。
海中に沈んでいた橋脚の根元が空中に晒され、そこから大量の海水が滴り落ちていた。
「あっ、引っこ抜けちゃった……」
思った以上にあっけなかった。
ほとんど腕の力を抜いた状態だったにも関わらず、あっさりと引っこ抜けてしまったのだから、相当、脆いと言える。
それを握り締めるとあっけなく元の形が崩れてしまう程だ。
引き剥がしていった連絡橋の残骸を由佳がその場で海に向かって投げ捨てていく。
こんなものはもはや何の価値もない。
ほとんど力を入れる必要がなかったせいか、両手どころかほとんど片手だけで、由佳は次から次へと海から橋を引き剥がしていった。
「なんかこの世界のモノって、何から何まで全部脆いよね……そんなに力込めてなかったのに引っこ抜けちゃうし……こんな立派な橋でもすぐ壊れちゃう……」
「んー、壊し甲斐が少なくて物足りないのかな?」
「……そうじゃないけど……」
言葉とは裏腹に、智之の思惑が図星である素振りを見せる。
やはり由佳には、巨大娘として街の蹂躙を楽しもうとする素質があるようだ。
本人は否定しているが、今までからしてその素質の片鱗が所々で顔を見せ始めている。
「そうは言っても、元々、この橋は小人さんからすればものすごく頑丈で堅牢な橋だったわけで。
まっ、よーするにこの世界の一般的基準からしたら由佳の方が信じられないほど大きくて強いんだよ?」
智之がそう語っている間に由佳は再び橋に手を伸ばしていく。
巨大な五本の指が鋭い爪の如く、橋の側面から襲い掛かる。
橋を支えている強固な鉄骨が一瞬にして、ありえない形に歪む。



「もう分かったと思うけど、この橋も信じられないほど脆くて壊しやすいからさ、由佳の手の力だけで握り潰しちゃってよ」
そのまま何の抵抗もなく巨大な指で握り潰されてしまった。
これでも由佳はほとんど手に力を入れてないのだ。
軽く握る感じで力を入れていっただけで、橋は何の抵抗もなく潰れてしまったのだ。
「智之にそう言われてるとなんかホント怪獣になったみたい……」
「そうそう、由佳は世界で一番大きくて可愛い怪獣さんなんだから……じゃ、最後に橋を思いっきり踏み潰していって欲しいんだ」
「踏み潰しね……そういえば、ここではまだやってなかったね」
長い空港連絡橋も色んな方法で破壊してきた。
が、まだ橋に対して踏み潰し攻撃は行なっていない。
最後まで取っておきたいからと智之があえて由佳に指示していなかったのだ。
今となっては、橋が橋としてまともな形を残しているのは、本土側の2割にも満たない。
「踏み潰すのが難しかったら、足で蹴り壊すと言うかこうテキトーにめちゃくちゃにしてもいいし……」
「うん、分かった。じゃ、それなら……」
そう言うと由佳は一旦、橋から離れていった。
そして、少し行ったところで折り返し、再び橋に向かって歩いてきた。
最初、由佳がこれから何をするのかと智之にも分からなかったが、ここまで来ると彼女が何をやろうとしているのか理解出来た。
由佳は一歩一歩、大量の海水を掻き分け、ゆっくりと歩いて、橋の方へとやってくる。
海の中をただ歩くだけというほんの何気ない動作でさえもその巨体ゆえにダイナミックなものとなる。
その壮大さは、遠目で眺めている智之が思わず息を呑むほど。
巨大化した由佳が歩く光景など幾度と無く目のあたりにしている。
それでも目を釘付けにされることには変わりない。
由佳は橋に接近しつつも、まるでスピードを緩める気配はない。
そう、このまま……



「ねぇ、こういう風にするといいんでしょ?知ってるんだから……」
由佳は智之の指示を仰ぐことなく、連絡橋を引き千切るようにして破壊した。
破壊に際して、由佳は何も特別な動作を取ってはいない。
ホンの何気ない体の動きですら橋を破壊するには十分だったのだ。
もうすっかり巨大娘としての経験を積んだ由佳は智之が何をして欲しいと思っているかを十分に把握していた。
「さすが由佳。オレのことよく分かってくれてるなー」
「まぁ、褒められたら悪い気はしないけど……」
そう言いつつ、ここぞとばかりに由佳は橋の真上から一気に足を振り下ろして、ド派手に踏み潰していく。
さらには橋を下から蹴り上げるようにしても壊していく。
結果的には、智之の命令を完遂した。
こうして最後まで残っていた対岸側の連絡橋も余すところなく由佳によって破壊し尽くされてしまった。
もはやこの場所に先ほどまで、あれほど長大な橋梁が存在したことを示すのは僅かに残された残骸だけとなってしまった。



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 「こうして空港連絡橋はメイド怪獣由佳によって、めちゃくちゃに壊されてしまいましたとさ」
「だから、メイド怪獣って言わないでよ……メイドはともかく怪獣は……」
「いいじゃん、実際に怪獣なんだし。由佳以外のみんなそう思ってるって」
「ううぅ……智之のバカ……」
「オレ、大きな女の子に滅茶苦茶にされる巨大構造物とかすごく萌えるし……」
「何で、それを私に言うのよ」
「今度、由佳が一人で遊ぶ時の参考になればいいかなーと思って言ってみた」
「ひ、一人で遊ぶ時って……」
「こうやって二人で遊ぶのもめちゃくちゃ楽しいけど、由佳が一人で巨大化して遊んでるところもまた見たいし♪」
「つまり、また前みたいに私が一人で巨大化してるのを見たいからやれってこと?」
「別に、そこまでは言わないけど……」
「……だって、智之の顔に『つべこべ言わずにやれ』って書いてある……」
「えっ、いや……そりゃ、やって欲しいけど由佳に無理強いはしたくないし……」
「嘘でしょ、いっつも恥ずかしがる私を無理やり巨大化させて、それを見てニヤニヤしてる智之がそんな殊勝なこと言うはずがないもん……」
由佳は、智之が己にある種の羞恥プレイを半ば強要して楽しんでいることはよーく分かっていた。
でも、いつのまにかそれを受け入れて、言われるがままにしていたのもまた事実。
「何でもいいの?」
「そこは由佳にお任せする。自分の好きなようにすればいいよ。イヤだイヤだ恥ずかしいって言ってる割には楽しいんだろ?」
「べ、別にイヤとは言ってないし、恥ずかしいのと楽しいのは別物だもん……」
「だよなー、なんだかんだ言いつつ楽しんでるもんな、由佳は。嫌い嫌いも好きのうちってか」
「……うるさい」
「それに、して欲しいことは全部、言って欲しいなんて言ってたのはどこの誰かな?」
「…………」
ついに由佳は押し黙ってしまった。
「それに、オレは由佳は絶対、『DESIRE』で巨大化するのにハマるだろうなーって前から思ってたけど?」
「何でそう思ってたの?」
「んー、由佳の性格的に……かな?ほら、どっちかっていうとMだけどSっぽいところもあるみたいな。そういうところ見てたらハマるだろうなって」
はなっから、由佳がこの「ゲーム」の快感にハマるように仕組まれていたのだった。
「そうそう。由佳が痛い思いやイヤな思いをしないように出来る限りの設定調整も施してあるし」
「智之が色々と配慮してくれてるってのは分かるんだけど、どうもその目的にいやらしさを感じるのよね……」
「オレの由佳に対する好意とか愛情の表れだよ」
「……嘘じゃない?」
「もちろん」
「分かったわよ、これからも程々に付き合ってあげるから……あ、あんまり変なことは要求しないでよ……恥ずかしいから……」
「いいじゃん、恥ずかしいこと。その方がオレは好きだし」
「智之は良くても私はダメなの。それに裸を見せろとか言われるは着替えは覗かれたりするし……」
それにいくら裸より服着てる方が恥ずかしくないからって、あんまり……その……恥ずかしい服着せるのはやめてよね……」
「オレ、どっちかっていうと露出の少ない服のほうが好きだよ? そのメイド服だってそうだし」
「そういう問題じゃないの〜」
「なら、今度は普段着で巨大化してもらおうかな。服装的な問題は解決するだろ?」
「こうなったら何を言っても仕方ないわね……私の気が進む範囲内でやってあげるから、それで我慢しなさい。いい?」
「おっ、いつになく強気だね。たまにこんな風に強気になるのもカワイイなぁ」
「それと。文句を言うなら何もやってあげないから」
「スミマセン……それはともかく、橋も全部壊しちゃったことだし、ずっとそこにいても仕方ないし、街の方に上陸しよっか」
「それもそうね」
こうして、橋をあらかた破壊し終えた後、由佳は空港島の対岸に上陸した。



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この辺りは、先程1000倍に巨大化した由佳によって既に破壊された場所だったのだが……
それにしては、様子がおかしい。
いや普通の町並みが広がっているだけなのだが……そう、それが違和感の正体だ。
なんと驚くべきことに、空港対岸の街は由佳が破壊する以前の姿になっていた。
何を隠そう、智之が元通りの姿に復元させておいたのだ。
「DESIRE」の世界であれば、破壊しつくされた街を元通りに復元するのも簡単な操作で完了してしまうのだ。
「さっきから気になってたけど、何で元に戻ってるのよ……」
由佳はいささか不満気味だった。
せっかく、頑張って壊したのがこうもあっさりと元通りになってしまっては何だか自分の努力を否定された気分になってしまうからだ。
「何で怒ってるの?」
智之は、由佳が怒っている理由が分からなかった。
「だって、せっかく智之に言われるがまま壊してあげたのに、元通りになっているじゃない!」
ここまで言われて、自分がやったことが由佳の怒りを買っていたことに気がつく。
まさか、由佳がそんな風に思っていたとは思いも寄らなかったからだ。
「そ、それはそれでめちゃくちゃ良かったんだけど、この後のことも考えて、一旦、この街を元通りに復元しておきたかったんだよ」
とりあえず由佳の怒りを鎮めるために事情を説明する。
「ぶーぶー」
意外と由佳は不満を隠さない。
「壊してあげた」という言い方をするのも珍しい。
「それでわざわざ破壊してあげたところを元通りにしてまで、これから何をするの?」
「それはまだ説明してなかったな。じゃ、今からそっち行くから……」
「えっ?智之もこっち来るの?」
そう言うとすぐに智之は由佳の隣に現れた。
由佳と同じ100倍サイズに巨大化した状態で……




<つづく>

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