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3.


 ズドーンズドーン....
箱庭内に響き渡る巨大な奈央の足音....




 どうやら奈央がより一層、近付いてきたようだ。
さっきよりも足音が大きくなっている。
司が確かめるべく、再び窓から背後に目をやった。
(やっぱりな、アイツはデカすぎるんだよ....もう追いついてきやがった)
出発時にはかなりのリードがあったはずなのに。
奈央が歩き始めてからのわずかな時間で、その貴重なリードが消え失せてしまった。
「競争」ということを考えるともはや司の勝ち目はなくなっていた。
(無論、今までの「競争」で一度たりとも司が勝ったことはない。
 例えゴールの直前まで、司がリードしていたとしても奈央が最後の一歩で逆転するなんてよくあった)
負けたからといって罰ゲームとかがあるわけではないが、
(こんなハンディのありすぎる勝負で罰ゲームなんかあったら鬼畜すぎだよね)
散々、余裕ぶっこいて手抜きまでする相手に負けることが悔しいのだ。
ズドーン...ズドーン...と轟音レベルの足音が響き渡る。
ついに至近距離まで接近してきた巨大な奈央...
何かを仕掛けてくるのか...それとも...?
司はゴクリ...と唾を飲み込んだ。





 ところが。
奈央は司が運転する電車にはほとんど目もくれず先に行ってしまった。
(あ、あれ?何も仕掛けないで行きやがった...何でだ?)
司は予想が外れて困惑した。
いつもなら電車を追い越す際にはよく、「ちび兄ちゃんの電車おそ〜い♪」なんて言われ方をしたのだが....
今日は特に何をするでもなく一気に抜き去っていった。
ちょうど南本地区の近くは線路から少し離れた場所を「巨人用歩道」が並行して走っている。
そこを奈央の巨大な足がズドーンズドーンと恐ろしいスピードを伴って通過していったのだ。
悠然と「巨人用歩道」を歩く姿は様になってると思うのだが、褒めるところじゃない。






 今に限ったことではないのだが、「巨人」の身体の動きを「小人」の視点から眺めると意外と面白かったりするのだ。
日常の生活において、人間の歩行運動をじっくりと観察するなんてことがない。
つま先、踵や膝の動きを観察してみると人間の二足歩行が良く出来た運動だということが分かる。
アリから見た人間と同じ...
(って、オレはアリ扱いか!)
司は頭をブンブンと振って自分とアリを同視する考えを振り払った。




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比較的、構造物が少ないのは、今奈央が歩いている辺り。
家やビルがまばらに設置されている以外は田んぼや畑ということになっている。
(田んぼや畑は上から色を塗ってそれらしく整えてしまえば、
お手軽に「箱庭」の立派な一風景と成るのだ。
 事実、建物の模型を買うよりかなりの低コストで済む)




 奈央は司の乗っている電車を眼下に確認して、一気に抜き去った。
ここで何かをするつもりもない。
今日は少し趣向を変えて...
やってみたいことはあるが、この先でやってみた方が好都合だ。
目下のところ、奈央の興味はすぐ先にある南本地区のビル街だ。
「箱庭」が出来た当初はビルの寄せ集めに過ぎなかったのだが、
時を追うごとに、新たに購入していったビルが増えていったのでこの街は拡大してきた。
今となっては奈央も大満足の立派なビル街へと成長していた。
ビルに囲まれるのが、一番、自分が巨人になったという感覚が伝わってくる。




 そのなかでも一番のノッポビルが...
この街のランドマークと言っていい唯一の30階建て高層ビルだ。
これは10階建ての模型のビルを4つ組み合わせて作った代物だ。
(土台として下部に2つ使用している。なので4棟必要だった)
今の奈央と背比べしたら、これでも彼女の太もも程度しかないのだ。
彼女は司に見えるようにとわざとこのビルのすぐそばに立っている。
こうすれば電車の中からでも嫌でも目に付くだろう。
(お兄ちゃんからすればどれだけ大きく見えるのかな....)
「箱庭」において、じぶんがどれほどの巨人であるか、
それが「箱庭」の中にいるときに頭の中を占める一番の要素なのだ。




 (お兄ちゃんはどこかな〜♪)
例えこの建物がひしめき合う南本地区の中であっても、
奈央が歩く「巨人用歩道」と電車が通る線路はどこからでも見つけやすくなっている。
建物の間をストレートに貫く高架の線路だと余計にそうだ。
町全体を見下ろせる奈央には容易いことだ。
それに電車の位置を探る手がかりはもう一つある。
それは、電車が発する音。
死角に入っても、その走行音で大体の位置が分かる。
聞き耳を立ててみたが、今のところまだ近くには達していないようだ。






 奈央がここに到着してしばし。
ようやく司の乗った電車が近付いてきた。
先ほど追い越してから、奈央が歩くスピードを手加減してもこれだけの差が生まれていたのだ。
(来た来た...ちっちゃなお兄ちゃんが乗ったちっちゃな電車...)
電車は高架をフルスピードと思しき速度で走行していた。
奈央は気にしていないかもしれないが今は「競争」の真っ最中である。
圧倒的に速度の遅い側とすれば、フルスピードで突っ走るのも当然だ。
(お兄ちゃんがんばっちゃってる...私には勝てないのにね♪)
この他愛無い優越感が奈央の気分をよくさせる。
オモチャの世界で「巨人」になりきることなど、自分自身でも子供っぽいことだと自覚してる。
でも...
(だって、好きなんだもん。しょうがないじゃん....)
結局はコレに帰結する。
何物にも変えられない。





 不意に服のポケットに入っていた何かに、奈央の手が触れた。
(何かな..?  あっ、そうだ...コレ渡し損ねてた...)
「競争」に限らず、箱庭に入る時には必要となることも多いこのアイテム...
奈央は「コレ」を渡すことを忘れてた。
なので、司に電車を止めるように上から声を掛けることを思いついた。
「巨人」の奈央が一度声を出すと、「箱庭」の一地区程度なら十二分に響き渡る。
電車の中だろうと関係ない。
鶴の一声ならぬ奈央の一声...
一歩通行でしか使えないが、それでも割合便利な手だ。
やっぱり「大きいことはいいことだ」なのだった....






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 司が運転する電車がもうすぐ南本駅に差し掛かろうとしていたところだ。
速度はフルスピード...もちろんこの駅に停車している余裕などない。
「お兄ちゃ〜ん、電車止めて〜」
その時、天から「絶対的権力者」の声が降ってきた。
「競争」の途中だというのに、南本駅で止まれという事だろう。
こういうのは今までにないパターンだった。
「絶対的権力者の兄」とは言え、奈央の言うことには従わなければならない。
「お兄ちゃん優遇」など存在しないのが悲しい。
もしも奈央の言うとおりにしない場合には...
線路の上に巨大な足を置くというとんでもない実力行使に出るからだ!
これをやられるとどうしようもなくなる。
ただ幸いなことに、奈央は割りと離れたところに足を置くから止まりきれずに、
巨大な足に衝突にしてしまったことはない。
(そういや足で出来ないときは手を置いたこともあったな...)
自分が巨人になってるのをいいことに奈央は思う存分いたずらを仕掛けてくるのだ..
なんと恐ろしい巨大妹...







 司は正面の窓から奈央の様子を伺おうとした。
奈央の歩くスピードを考えるともう南本の街中に到着している頃だろう。
が、南本地区のビル街がすべて膝下に収まっている奈央の下半身しか見えなかった。
(だから、でか過ぎるんだっつーの...)
司は「競争」の時にいつもするようにフルスピードで南本駅を通過するつもりだったが、
奈央からのお願い(実質命令)となると仕方がない。
また勝負が振り出しに戻るだけだ。
やや強めのブレーキを掛けて、きちんと駅に止まれるようにする。
110...90..70..40..速度計の針がだんだんと左に傾いていく...
いつしか司の運転する電車が高架化されたホームに滑り込んでいた。





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 司が電車からホームに降り立った。
タイミングを見計らったかなのように、先ほどと同じく空から声が降ってきた。
「お兄ちゃん〜、電車から降りたら駅前で待っててね」
奈央は電車が駅に止まったのを見て、言っているのだろう。
上空からヘリコプターのように、見下ろせる150倍サイズの巨体と言うのは随分と便利なようだ。
(上から声かけるだけの一歩通行的なコミュニケーションでオレを自由に動かせると思うなよ....)
と思いつつも司はちゃっかりと言われたとおりに駅の出口に向かっていた。
司は割と奈央には甘いのである。







 駅の改札を抜け地上に出る。
駅前には当然誰もいない。
(誰もいない繁華街ってなんかパラレルワールドに飛ばされた感がるよな...)
SF映画にありそうな設定が頭をよぎる。
オモチャの街の人っ子一人いないという孤独。
誰もいない開放感と孤独は隣りあわせだった。
とりあえず奈央がどこにいるか探すために空を見上げた。
しばらく探してみたが、奈央の姿は見当たらなかった。
(あれ、あの大きさなら余裕で見つかると思ったんだけどな...
 どこかへ行きやがったのか...? 行動の読めない奴め...)
今、司がいるところからだと駅の反対側は駅の建物が邪魔になってまったく見えない。
いくら奈央が巨大で見つけやすいとはいえ、最初っから見えなければ見つかるはずもない。
(奈央がやってくるのを待つべきか...それとも?)






 司が周囲を見回してるとまた足音が聞こえてきた。
(ん?このくらいの音だと...)
司は小さいころから積み重ねた経験で足音で奈央の大体の大きさが分かる。
ぬっとビルの陰から奈央が姿を現した。
(やっぱり15倍サイズになってやがる...)
司の予想通り、奈央は150倍サイズから10分の1に縮小化していた。
ただし、それでも15倍、約25メートルの巨人であった。
(さすがに少しは小さくなったようだな...)
この駅周辺の大きいとはいえない通りを歩くためには、奈央とて小さくならざるを得ないのだ。
もっとも必要以上に小さくなることはせずに、今みたいにほどほどの大きさで歩き回る。
一応、「巨人」といっていい大きさだ。
どうやら駅前にいる司の姿に気がついたようだ。
「あっ、いたいた。こっち側にいたんだねー」
奈央がこちらに向かってズンズン歩いてくる。
司の目の前までやってきて、奈央の体が小さくなり始めた...
奈央は司と同サイズになろうとしていた...




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 奈央は縮小機を使った身長のコントロールも完璧にマスターしてる。
さすがは「箱庭」大好き娘...
奈央の縮小が止まり、司のそばにやってきた。
だが、奈央は素直に司と同じ大きさになったわけではなかった。
「おい、奈央。なんだその嫌がらせ度130%の身長は!?」
奈央はまだ司よりも大きかった。
最初に比べてかなり小さくなったとはいえ、完全に司と同じ縮小率で小さくなったわけではないようだ。
「へへ〜、大体2メートルくらいかな? まだまだお兄ちゃんより大きいんだよ♪」
「なんかむかつく大きさだな....」
上から妹に見下ろされてることに慣れているとはいえ、2メートルだとリアルな見下ろされ感がある。
目の前に体格のいいプロレスラーよりもさらに一回り大きな妹が立っているのだ。
「大巨人」の時とは違う迫力がある。
自分の妹が身長2メートルの大女になって、目の前にいるという恐怖...
この恐ろしさは実際に体験してみないと分からないものだ...
奈央が一歩近付くと、司は二歩後ずさりした。
「あれ?お兄ちゃん、怖がってるの?」
「そ、そんなことはないぞ....」
(妹にびびってるなんて馬鹿なと思っている人、要注意ですよ。
目の前に身長2メートルの妹がいたら身の危険を感じてもおかしくない...)







 「それで、用件は何だ?わざわざ競争をやめてまでやったんだから...」
「あのねーお兄ちゃんに渡しそびれてたものがあってね...」
奈央がポケットから何かを取り出した。
「ん?」
奈央が取り出した物...それはデジタルカメラだった。
「はい、コレ」
「で、オレに写真を撮れと...」
「うん♪」
カメラが登場した以上、写真を撮って欲しいというのは至極当然だ。
それに奈央が「箱庭」の中で「巨人」になっている姿を写真にとって欲しいと言ってくるのもいつものことだ。
今まで撮ってやった分は奈央がコレクションとして保管している。
恐らくかなりの数になっているはずだ...
(一体、そんだけコレクションしてどーすんだ...?)
司にはその使い道を知らなかったが、あまり聞く気にもならない。
仮に見せろと言ったならば喜んで見せてくれるだろう。
(実にオレにとってはメリットがないな...)






 奈央からデジカメを手渡される。
しかし、何か違和感がそこにあった。
コンパクトなはずのデジカメがこれまた微妙な大きさになっていた。
大体、通常の1.2倍。一昔前のサイズ。
片手に余る大きさ。それに少し重い。
撮影するには不便さいっぱい...
こうなったのもカメラの縮小率が奈央のそれと連動して、司と同じだけ縮小化してないからだ。
「奈央、お前もオレと同じ大きさになれ。
 デジカメが無駄にデカイだろうが....」
司にとっては奈央を同じ大きさにさせるちょうどいい口実になった。
「はぁ〜い...」
しぶしぶ奈央は大人しく、司の言う通りにした。
デジカメもいつものサイズに戻った。




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 「そういや〜奈央はいっつもオレと遊びたがるよな...」
ふと、司は言ってみた。
何気ない一言のつもりだった。
けれども、奈央の口から出てきたのは意外な内容だった。
「だって、お兄ちゃん優しいんだもん〜♪」
奈央から優しいと言われるのは予想外だった。
小さいころから普通に接してきただけで、意識してかわいがってやったわけではない。
ちょっと前までは司の身長コンプレックスのせいで仲が良くなかった時期もある。
特別、優しくしてきたわけではない。
だから、意外だったのだ。
それを踏まえての発言だとすると、奈央を見る目が変わりそうだった。






 だが、しかし。
司には兄として言っておかねばならないことがある。
ただの優しいお兄ちゃんでいるわけにはいかない。
なめられっぱなしでは立場がない。
「オレが優しいままでいて欲しかったらだな、オレをもっと大切にしろ!
 前から言ってるようにだな...まず勝手にオレを縮小化しない。」
「え〜いいでしょ〜。ずっとやってきたのに...」
「オレが困るんだよ...そもそもなんでいきなりばったりで小さくするんだ!」
「サプライズでやると楽しそうかなだから...?」
「んな覚えたての英単語を無理して使うな。しかも推測系なのが腹立つ...
 それはまぁいい。肝心なのはオレだって人を縮小化して遊ぶなとは言ってない。
 やる前にはちゃんと一言言ってからにしろと...」
「え〜、つまんない〜」
奈央とて引き下がるわけにはいかないようだ。
なら、こちらは更なる切り札を出すのみ...




 「宿題手伝ってやらないぞ。特に数学」
「あっ、それはダメ...」
奈央は日ごろ、司に学校の宿題を見てもらっていた。
司に宿題を手伝ってもらえなくなると非常に困る。特に数学。
数学は奈央が一番苦手な科目だった。
司も特別出来が良いという訳ではないが、3歳年上の兄というだけあって奈央の宿題程度なら簡単なのだ。
(奈央が一番苦手な教科ということもあって、司は大きく出れる)
そういうわけで司から宿題手伝い拒否の条件を切り出されると奈央としては困る。
「箱庭」で遊んでくれないことの次くらいに困ることなのだ。
「いいか〜、奈央がそうゆう態度取り続けるならこちらにも考えがあるわけだ」
「お兄ちゃんずる〜い」
「だ〜か〜ら、一言言えばいいつってんだろ?」
「それじゃつまんないって!」





 仕方がない。
コレだけ言っても分からないなら、最後の手段を使わざるを得ない。
司が奈央の頭を軽く小突いた。
コツン...
「きゃっ」
「わかったか?じゃないとオレもさすがに怒るぞ。つか、怒ってる」
司がいつになくまじめに言っていた。
しばしの沈黙。





 「ごめん、お兄ちゃん。今度から気をつける...」
もっとも奈央は基本的には「お兄ちゃんの言うことをよく聞くいい妹」なので、これくらい言えば十分だ。
「どうせなら自分から小さくなるのが好きなやつ見つけてこいよ...
 それなら喜んでやってくれるだろ?」
「そんな人いるの?」
「さぁな。オレも適当に言ってみただけだから知らね」
「じゃ、それまではお兄ちゃんが相手してくれないとね♪」
「げっ、結局そういうオチになるのかよ...」
これから先もしばらくは、奈央に付き合わされるのは目に見えていた...





                                                            *





 「しかし、なぁ...」
司が奈央の全身を一瞥した。
「何?お兄ちゃん」
「オレと身長が同じくらいあるクラスの女子なんて1人ぐらいしかいないぞ...
 しかもそいつは女子バスケット部の奴だし...」
「つまりお兄ちゃんは私の背が高いって言いたいの?」
「ん、まぁそうだな。デカいな。背が高いと言う意味でだけどな。
 奈央は背が高いことをコンプレックスだとか思わないのか?」
「ぜ〜んぜん。一度も思ったことないよ?」
予想通りの答えが返ってきた。
本人がコンプレックスを持ってないのはいいことだが...
何だか釈然としない。
(むむむ...)
14歳にして成人男性の平均身長と同じ身長の妹を見つめ、
司の心境は複雑だった。





 「じゃ、お兄ちゃん写真よろしくね〜」
ちょっと司が目を放した隙に奈央がまた巨大化し始めていた。
「あっ、おいっ...」
奈央は早くも今の司の手に負えないサイズにまで大きくなっていた。
用事が済んだから、早く「巨人」に戻りたいのだろう。
それにしても戻るのが早すぎる。
(落ち着きのないやつめ...めまぐるしくサイズが変化しまくってやがる...)
ここにやってきた時と同じ15倍サイズまで戻った時、
「ねぇねぇ〜一枚とって〜」
と、早くもおねだりが飛んできた。
こうなってしまえば仕方がない、撮ってあげるしかない。
「分かったよ、撮ってやるからじっとしとけ...」
奈央は建物と背比べするかのようにポーズをとって、待っていた。
(なんだか、妙に自分の大きさを煽っているようなポーズだな...)
奈央はちょいと低めの建物の後ろに立っている。
言わずもがな、奈央のほうが大きい。
足元を見てみれば軽自動車と同じくらいはある奈央の靴が目に入る。
(このガリバー妹め...)



 ポーズを変えた分も含めて、20枚近く写真を撮ってやると、奈央は満足したのか、
「じゃ、また競争に戻ろうね〜」と言ってきた。
そう、今はまだ「競争」の最中だったのだ。
「オレが準備できるまでお前は動くなよ...」
「うん、わかってるって。お兄ちゃんの電車が動くまで私はスタートしないよ。ハンデだね」
司は奈央と別れて、駅の階段を昇っていった。




<つづく>

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