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「Naked Desire」


お読みになられる前の注意。
この話はフィクションです。
「DAIVING SPOT!」に入場できる方だけが読んでください。
当たり前ですが巨大な人間が登場します。
現実に存在するいろんなものとは全く関係がありません。
また話中に登場する仮想空間内において、残酷・暴力・犯罪行為が行われる描写が含まれています。
そのせいか全体的に話が黒いです。
皮肉やら毒気が詰まってます。
ほのぼの系ではありません。
まったり系でもありません。
男女が登場しますが、どっかのバカップルのようにらぶらぶいちゃいちゃしません。
巨大女がやられてしまう話(の予定)です。
とにもかくにもフィクションです。
以上の点を留意してお読みください。


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Prologue.1


　(現実の世界だって、大概じゃないか...)
横島は一人勝手に積み重なった不満を心の中で訴えていた。
他人には打ち明けられない分だけ、独り言として吐き出すしかない。


　実生活では不倫&略奪婚をしている人間が、さも善人ぶって反戦や平和の歌を歌ってる。
しかもそれがバカみたいに売れてしまう。
盲目的に耳障りのいい歌詞とかメロディーだけを妄信している連中を見ると虫唾が走っていた。
かつては姦通罪として刑法にあったが、現代日本においては不倫は犯罪行為ではない。
私人間の単なる道徳的、倫理的な問題だ。
せいぜいゴシップネタが大好きなスポーツ新聞やワイドショーを一週間賑わす程度で終わってしまう。
いっそ麻薬か覚せい剤なんかで逮捕されて、未来永劫、あの連中の音楽が耳に入ってこなくなればいいと思っている。
不倫程度でのスキャンダルは横島にとっては鬱憤を晴らすにはまだまだ物足りなかった。


　実生活の不倫と仮想現実での犯罪行為。
どちらが人間としてクズなんだろうか...
両者を天秤に掛けてみたが、その判断はできなかった。
(まっ、そう簡単に比較はできない...か)
そもそも誰が何を基準として「正義」の裁定を降すのか。
全知全能の神が人類の上に立って正義を振りかざしでもしなきゃ、不可能なことだ。
(フン...まぁいい。不倫はバレても...仮想現実の中の犯罪行為はバレるわけがない。
 この世界で何をしようとオレの勝手だな...ここではオレが正義で神だからな)


　いよいよ覚悟を決めて、実行する時がやってきた。
今日やることは今までとは一味もふた味も違う。
初めてのことで心臓はドキドキしている。
ただし、ここでは失敗は「許される」。
「自分の自分による自分のための世界」
そんなキャッチコピーが耳によみがえる。
そして横島は「舞台」に姿を現したのだった...


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Prologue.2


　今、横島は一人の女を犯そうとしていた。
「いいか...大人しくオレの言うことを聞かないと、こいつらの命はないからな...」
「くっ...アンタ...本当にサイテーね。卑怯者!
男の風上にも置けない、最低最悪の下衆野郎よ!
こうでもしないと一人の女を手に入れられないんだから!」
女は髪を乱しながら、その美貌とは似ても似つかぬ彼女が知っている限りの罵倒語で、
馬乗りになって自分を犯そうとしている男を罵っている。
彼女がこれまでの人生で口にすらしなかった汚い言葉が次々と出てくる...
横島は黙ってその罵倒を聞いていた。


　彼女の言うことは事実かつ正論なので、彼としても反論しにくいのだ。
一発ぶん殴って彼女を黙らせるという手もあるがそれは彼なりの美学に反すると考えていた。
そもそも女性をレイプしようとしていること。
この欲望自体が歪んでいるというのは自覚している。
こんなところに美学なんて存在するのかなんていう疑問は愚問である。
現実の犯罪者にだって、いいか悪いかは別にして個々の美学はあるもんだ。


　残念ながら、こうして人質を取ったりでもしないと、一人の女を凌辱することすら出来ない。
確かに自分は卑怯だ。
まるで他人事のようにあっさりと認める。
だが、それはそれ。
やることはやる。やりとげてやる。
誰にも止められないのだ。
それも絶対に。


　「じゃ、始めるとするか...」
妙に落ち着いた口調で横島は言った。
だが、内心では興奮が最高潮に達しようとしている。
今すぐにでも、彼女に襲い掛かりたい衝動に駆られるのを必死で堪えている。
女を力ずくで犯そうとすることが、こんなにも自分の欲望を燃え上がらせるものとは知らなかった。
横島はゆっくりとズボンを脱いでいく。


　そんな女を力づくで組み倒し、犯そうとしている。
サディストの横島はこの状況に興奮していた。
(ふん...なかなか犯し甲斐のありそうな女だな...)
自分の中に秘められていた野性的な感情が横島の頭の中を満たしていた。


 それともう一つ明らかにおかしな点がある。
なんと横島と玲香は身長40メートルの巨人となって、街中に横たわっていたのだ!


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Prologue.3


　その一方でそのまさに今、凌辱されようとしている女性...
彼女の名前は桐島玲香。
彼女は横島の住むワンルームマンションの同じ住人。
もっと正確に言えば、横島の自宅の402号室の真上の部屋に、彼女は住んでいる。
最も彼女が自室の真上に住んでいるという事実を知ったのは最近のことだ。
このマンションに住んで２年経つが、部屋はおろか名前すら知らなかった。


　元々、上の階に住んでいる女性は彼女一人だということは、日頃の人の出入りでなんとなく感じていた。
日頃、マンション内のエレベーターで他の住人と遭遇する。
その内、5階のボタンを押す人間は基本的に三人しか知らなかった。
その中で男が二人で女は一人だけだった。
マンションの玄関の集合ポストの5階の列には「高田」「桐島」「桜井」と苗字しか並んでおらず、
これから判断するに、この三軒の住人が横島よりも後にエレベーターを降りる三人なのだろう。
皆、自分の苗字だけで外部に示す情報は事足りると判断しているのだろう。
去年までは確かもう一つ。
「中山」という表札があったがいつの間にか引っ越したのか、なくなっている。
それともう一室は横島が住む以前から空き部屋のままだ。
つまり現在は、一つの階に付き5部屋あるこのマンションの最上階には3人しか住んでいないことになる。
そう考えるとやはり普段、エレベーターの中で出会う3人が5階の住人の全てだと考えて問題はない。
この中に例の女性の名前があるはずなのだが、ポストの名札には一つもフルネームが掲示されていないので、
どの苗字が女の苗字なのかは分からなかった。
男はさておき、女の一人暮らしとなるといつ危険を孕んだ不埒な輩が牙を剥いてくるかわからないので、
フルネームは出さないという初歩的な警戒はしておくのは、当然だ。


　普通なら、横島も彼女の下の名前までは知ることはなかった。
だが、ふとした事がきっかけで横島は彼女のフルネームを知った。
半年ほど前のある日、例の「桐島」さん宛ての郵便物が一つ下の横島のポストに誤って投函されていた。
内容はただのダイレクトメールだった。
(ん...見慣れないとこから来てる....って、コレ、俺宛てではないな...)
その郵便物の宛て先には「桐島玲香さま」と書かれていたのだ。
宛名ですぐに誤配と分かり、横島の一つ上段のポストに入れ直してあげておいた。
こうして、横島は初めて真上に住んでいる「桐島」という苗字の人間が、
度々、エレベーターで一緒になる5階に住んでいる唯一の女性で、フルネームが「桐島玲香」ということだと知った。


　今までそんなに気にかけることはなかったが、彼女のフルネームを偶然にも知ってしまい、
もっと彼女の素性を知りたくなった。
ただの美人の住人では済まない魅力がある。
心に引っ掛かる理由は自分でも分からなかった。
簡単に調べれる範囲で終わらせることだけを考え、少しだけ素性を調べてみることにした。


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　素性を調べると行っても、調査会社に依頼するなんて大げさな話ではなく、誰でも簡単に出来る程度の調査だ。
(『桐島玲香』っと...運がよければ、出身大学とか微妙な情報が出てくかな...)


　「桐島玲香」という名前をネットで検索すると興味深い結果が出てきた。
それはとある地方都市で14年前に行われた市内の中学校のテニス大会の成績だった。
そこの女子ダブルス部門準優勝の欄に彼女の名前があった。
彼女の当時の学年は中学三年生だった。
年齢も14年前に中学校三年だった事実から逆算して、玲香が現在28歳ということがわかった。
丁度、横島より2歳年上だった。
横島は彼女の年齢が自分と同じくらいと見積もっていたので、やや実年齢より若く見えるタイプなのだろう。


　「桐島玲香」という他の検索結果は、3年前の児童絵画コンクールで入選した小学生の女の子が見つかった以外は出てこなかった。
(さすがにこっちは違うよな...)
外見から判断できる大体の年齢を加味して、「テニス大会の桐島玲香」が5階に住んでいる桐島玲香に間違いないだろう。
結果的に分かったのは彼女の出身中学校と年齢とかつてテニスをやっていたことぐらいだった。


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　頭の中で彼女の容姿を思い浮かべてみる。
背は167センチの横島と同じくらいはあるという女性にしては長身で、
ハイヒールを履くと玲香の方が明らかに高くなる。
全体のスタイルも良かったはずだ。
横島の目を引くボディーはテニスで培われたものなのだろうか....


　同じマンションには、一応、他にも4,5人の女性が暮らしていたが、
その中でも玲香はその美貌と長身とあいまって特に存在感があった。
横島は玲香とはエレベーターで会う以外の深い付き合いもないので、彼女の性格は詳しく知らなかったが、
顔付きから判断するだけでも、気が強そうな勝ち気タイプの女だ。
(外見と中身が一致しないかもしれにけど、「オカズ」にする分には強気の方が好都合だしな)
高そうなスーツをビシッと着こなして颯爽と歩く。
一言で表すならいわゆる「デキる女」という奴だ。


　とまぁ、今までの「桐島玲香」像は勝手に横島が判断しているが、
本当の彼女はそうではないかもしれない。
しかししかし、今、横島の目の前にいる「桐島玲香」なる人物はそういう性格だ。
答えは単純。
なぜなら横島が自分の想像を元に「桐島玲香」という女性を設定をしたからだ。


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Prologue.4


　そもそもすべての事の始まりは今から2時間程前のこと...


　(オレにもあんなかわいい彼女がいたら、人生もだいぶ明るかったんだろうな...)
横島の隣で同じ様に手続きをしていた大学生同士とおぼしき若いカップルを横目で見ながら思った。
仲良く手をつないでお互いに楽しそうな表情をしている。
どうみてもラブラブなカップルだ。
(かわいい彼女と一緒にここに来れるなんて羨ましい限りだな...)
これまで女とはほとんど縁のない人生を送ってきた彼だけに、この若いカップルが特に羨ましく、妬ましく思えた。
隣の芝生は青く見える...
その言葉が不意に思い出された。
横島のこれまでの女性経験と言えば、興味本位で数回行った風俗だけ。
それも思っていたほど満足は出来なかった。
彼女いない歴=26年=年齢の横島には、これまでの人生で積もりに積もった欲求と欝憤があった...


　学生時代も今の職場も男が多い。
男の友人知人はその都度出来たが、どうも女性には縁がない。
人間嫌いの類いではないし、女嫌いでもない。
必要があれば女性と会話することもしばしばあるが、それもその後が続かない。
ヒットは出るがランナーは生還しない。
シュートを打つがゴールネットを揺らさない。
閉塞感で窒息しそうなそんな26年間。


　もっとも過去だけではなく、これから先の将来にも明るい兆しは、今の段階ではほとんど見えない。
横島自身は少なくとも高校時代から恋人が出来ることを望み続けていた。
自らの性欲を満たしたかったわけではない。
性欲が高まれば妄想してマスターベーションすれば事足りたし、
どうしてもとなれば金を払って風俗に行けばよかった。
(前述の通り、最高に満足できるわけではなかったが)


　ただ一緒に遊園地に行ったり買い物に行ったり...
恋人同士でするたわいもないことをしたかったのだ。
彼女が出来ないということ以外は今の生活に比較的満足してるだけに、余計に寂しさが募る。


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　そんな時に出会ったのが、この「ゲーム」だった。
「ゲーム」と言うのはもちろん通称である。
「DESIRE」というれっきとした製品名が存在する。
だが、世間に広まって人気が出てくる内に、いつしか「ゲーム」という実に単純明解な呼び名が生まれ、今となってはこちらを使う者も多い。
「ゲーム」が通称、「DESIRE」は商品名。
そして「DEvice of SImulated REality」という正式名称もある。
日本語に訳してみると「現実性を仮想体験する装置」
正式名称の意味を理解するとなるほどとなる。


　横島は幼いころから、テレビでできる家庭用のゲーム機のテレビゲームはよくプレイしたが、
ゲームセンターに置いてあるようなアーケード型のゲーム機にはあまり馴染みがなかった。
それと世の中には「恋愛シュミレーションゲーム」や「エロゲー」なるものがあることはうわさに聞いていた。
ちょっとでも気がまぎれるかと思って試しにプレイしてみたこともあったが、どうも性に合わなかった。
アニメ調の絵が合わなかったのか、理由は定かではない。
とにかくそれ以降はその類のゲームも敬遠していた。


　そんな彼が「DESIRE」の存在を知ったのは爆発的ブームの始まりの頃、
ネットのちょっとした記事を見たことからだった。
初代DESIREが登場してから約5年。
改良を重ね、ついに完成版とも言える第三世代の「DESIREⅢ」が登場し、今まで以上の人気を博していると言うことだった。
その記事を読んだ翌日、たまたま休日だったために興味を持った横島は駅ビルに向かった。
ネット検索を掛けた結果、自宅の最寄り駅の隣接しているビルに「DESIRE」を置いている店があることが分かったからだ。
件の記事であらかじめ一人客の客層も2割はいるということを知っていたからよかった。
一人だけでも楽しめることが人気の要因の一つになっているだろうと例の記事では分析していた。
そういうわけで店員に不審がられることもなくプレイにありつけられた。


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　そして実際に「DESIRE」をプレイして大きな衝撃を受けた。
(こいつは...スゴい!!)
その日はそのまま「DESIRE」の虜になり5時間もぶっつづけでやってしまった。


　それからというものの時間と金さえあれば毎日のように足繁く通い、
ネットからも情報収集をして、自分の欲望を最大限に満たせるようになるまで研究を重ねた。
「DESIRE」には横島の期待に応えられるに十分な機能があった。


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　実は横島には他人には絶対に秘密にしておきたい性癖があった。
そう...それはもちろん「巨大女性が好き」というものだった。
ここでは説明を省略するが、端的に言って高層ビルのように巨大な女性に性的興奮を覚えるという性癖なのだ。


　そして今日、横島は自らで考え抜いたシナリオを基にした彼の理想とする
巨大女性が登場するシチュエーションを楽しむことにしたのであった。


　そのモデルがあの「桐島玲香」なのだ。


<つづく>