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4-7-1.



 「私がイイって言うまで、元に戻ったらダメだからね」
「……ハイ」
もはや今の智之が由佳に逆らえるはずがなかった。
一体、これから由佳がしようとしているオシオキとは何か。
智之にはそれが気になっていたのだが、もはやすべての主導権は由佳に渡ってしまっている。
智之は為す術もなく、ただただ由佳にされるがままの状態になってしまった。


 「それじゃ、智之にも恥ずかしい思いしてもらおうっと♪」
そういうと由佳は智之の目の前にしゃがみ込み、ズボンのベルトを外した。
「って、何しようとしてるんだ」
由佳の突然の行動に戸惑う智之。
「だーかーら、恥ずかしいことって言ってるでしょ」
緩めたズボンをスルスルと下ろすと由佳の目の前で、智之のトランクスに小さなテントが張られていた。
「ふふ〜ん、まだおっきいままだね……」
めくるめく興奮の坩堝で智之の息子が収まることはなかったのだ。
由佳は興味深そうにじっと観察している。
「さっき、ベルト外したときにちょっと期待しなかった?」
「え、な、何を?」
「……とぼけてるの?」
由佳の追及をかわせない。
いつもとは違う由佳との距離感に戸惑う。
体格差で優位に立っていることも見逃せない
それに目つきもいつもとは違って、なんだか迫力がある。
眼力だけで、今の由佳には逆らうことが出来ないと分かる。



 「うっ……期待したよ。少し」
智之は正直に告白した。
「オシオキなんだから、私がそんなことしてあげるはずがないでしょ、ヘンタイ」
「普通の男だったら、彼女にズボンを下ろされる展開だと想像するよ……
 それに彼女に主導権握られたままされると、結構、オシオキぽっくなるしさ……」
フェラチオは男が相手の女性に「させる」パターンが多いが、逆に女性の側から積極的に行うことも珍しいことではない。
だから、由佳がズボンを下ろした時にそういう展開になるのかと考えたのだが、智之の予想は外れた。
「ふ〜ん、それじゃ智之は私にイジメられるの好き?」
「……まぁ、嫌いじゃない」
「嫌いじゃない? 大好きの間違いじゃないの?ここがこんなに喜んじゃってるのに嘘つくの?」
そういうと由佳は指先で智之のモノを弄り始めた。
グリグリといじられるだけで智之は快感を感じていた。
しかし、少し力加減が強いせいか同時に痛みも感じていた。
「出来れば、その……やさしく」
「智之のくせに、私に口答えする気なの?」
由佳が上目遣いでこちらを見上げてきた。
それも保護欲が刺激されるようないつもの上目遣いではなく、何処か怪しさを持った上目遣いだった。
(なんか由佳が怖くなってきた……)


 「……って、言いたいところだけど……こういうのって、やっぱ私のキャラじゃないよね」
「そ、そうだよな。由佳は優しくしてくれるのが一番だと思うよ、うんうん」
「でも、こうやって智之を弄ぶのって楽しいかも♪」
「マジですか?」
智之が思うに由佳は基本的にはいじられキャラでMっぽい感じがあるのだが、
こうして優位な立場に立たせてあげると隠されていたSっ気が内面からにじみ出てきて、またそれが新鮮な魅力となる。
「DESIRE」で由佳を巨大化させてみて、それを強く実感した。
「というわけで、やっぱり私のしたいようにするから覚悟しなさい」
と、由佳が妙に力強く宣言していた。



 「あと、それから……」
「な、何?」
(その……痛かったり、どうしても嫌だったらちゃんと言ってね……)
口から発せられる言葉ではなく、テレパシーで伝えられた自分を思いはかる言葉に由佳の優しさを感じていた。


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 そして由佳の手によって、トランクスも下げられて智之のイチモツが外部に晒された。
もちろん勃っている状態である。
「ふふふ、背が低くなっている分、『ともくん』も小さくなってるね……カワイイ♪」
「だから、なぜオレのチ○コを『ともくん』と呼ぶのかと……」
「だって、本体よりもカワイイんだもん♪」
智之のイチモツのことを由佳はいつからかこう呼ぶようになった。
今までも二人っきりでイチャイチャするときには何かと呼ぶことが多かったが、
いわゆる「ひらがな4、5文字の一般的に呼ばれているような直接的な呼称」は由佳としては呼びにくかったようだった。
そんなこんなで、由佳なりに呼びやすい「ともくん」なんていう呼称に落ち着いたようだが、やはり智之としては納得がいかなかった。
(オレのことを「ともくん」って呼んでほしいのが本音なんだけどなー)




 由佳を大きさを現実と同じとして考えると、智之の大きさは小学生くらいになってしまった。
が、某国民的探偵マンガの主人公よろしく幼児化したわけではない。
そのため、一応、体が小さくなったとは言え、元の青年の体付きではある。
ただし、それでも目の前の由佳と比較されるとやや貧相に見えるだろう。
由佳を基準にすると智之は子どもみたいだが、逆に智之を基準としてみると由佳は大女に見えるからだ。
そして、智之の「息子」の大きさも同じく比例して小さくなっている。
まぁ、俗にいう「お子さまサイズ」だ。
いつもは由佳の小さめの手には余り気味になるモノが、今は由佳の手に包まれてしまうほどになっている。


 「やっぱり、ちっちゃくてかわいい♪」
いきり立っている「男の象徴」をちっちゃくてかわいいと音符付きで言われてしまうとは……智之は少し情けなくなった。
それでも馬鹿にされるよりはマシだと思っていた。
(しかも、今まで以上に由佳が大きく見える……)
さっきまで、地上から1000倍の大巨人となった由佳を見続けていたのだが、目の前にいる少し大きな由佳はまたそれとは違った迫力がある。
今まで頭を撫でられるほど小さかった由佳に逆に自分が頭を撫でられてしまうのだ。
智之からすれば、自分が小さくなったと言うよりも由佳の方が少し大きくなった感じがするのだ。
(しかしナンダカンダでこの状況もいいなー)
智之の巨大娘好きの血は由佳がリアルGTSとなったこの状況でも発揮されていた。



 「ねぇ、ちょっとは恥ずかしがってよ……智之が喜んでたら、全然お仕置きの意味が無いじゃない……」
「いや、結構恥ずかしいって。こうして由佳に主導権握られてるんだから……あと、チ○コも」
軽いシャレを混ぜてみたが、由佳には完全に無視されてしまった。
それどころかスベったダジャレのせいで余計、機嫌を悪くしたかもしれない。
ちょっと選択肢を間違えたようだった。
(この流れはまずいかも……)
智之がそう思ったのもつかの間。
「そういえば、智之ってMっ気あったよね?」
「オレはまぁ、どっちかっていうとSなんだけど……」
「あったよね?」
顔を近づけられて凄まれると否定はできなかった。
またしても、由佳の語気に押される形で智之はMだと認めざるを得なくなった。
「じゃ、私にいじめられるとうれしいんだ〜♪ 情けないヘンタイさんね」
確かに由佳の言うとおり、恥ずかしくもも情けなくもある。
だが、智之はその感情を喜び……いや歓びに変換することも出来る体質なので、由佳にいじめられるのもそれなりに楽しんでいた。



 「ん〜どうしよっかなー、どうやって智之いじめよっかなー」
由佳は何やら楽しそうにしている。
この笑顔の裏に怒りが隠されているのではないかと思うと智之はヒヤヒヤしてきた。
「ねぇ、怖い?私に何されるか分からないから、怖いって思ってる?」
「何気に怒った由佳は怖いからそう思ってる」
「あっ、珍しく素直に認めた。智之のことだから、強がって『怖くない』って言うと思ったのに……」
どういうわけか由佳は少し不満そうな顔になった。
「なぜに素直に認めたら不機嫌になるんだよ?」
「えーだって、強がっている智之をいじめてあげようって思ってたから。
 逆に素直に認められたらいじめにくくなっちゃったの!」
「そんな無茶な」
「とにかく。私の言うとおりにして。じゃないと、私が面白くないから!」
思わぬ由佳のわがままに智之は振り回されることになってしまった。
「ふふ〜ん、それでねさっきー、面白いこと思いついたの♪」
「何をしようと?」
「な〜いっしょ♪智之は大人しくしてたらそれでいいの」
すると由佳はその場にしゃがみ込んだ。


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 そう。
今、二人がいる場所は大きな国際空港だ。
となれば、当然、ここには飛行機がたくさんあるということだ。
由佳はこれを小道具として使うことを思いついたのだった。
由佳は近くの駐機場に手を伸ばし、そこにあった飛行機を軽く摘みあげた。
長距離国際線用の大型旅客機も1000分の1となってしまえば、指先で摘めるほどかなり小さい。
こうして由佳の手に掛かれば、何十トンもある機体がまるでおもちゃのように扱われてしまう。
「本物の模型でもこんなにちっちゃくないのにね」
由佳は改めて周りの物体の小ささに驚いているようだった。
「それじゃ、これにしよっと」
そう言うと由佳は摘みあげた飛行機を手のひらに乗せた。
「後、これも……」
最終的に3機が由佳によって、捕らえられてしまった。



 そしてさらに、由佳は手のひらに載せられた機体から一つを選び、むき出しになっていた「ともくん」に近付けた。
「へ〜、『ともくん』がいくらちっちゃくてカワイイって言っても、小人さんの飛行機よりは大きいんだ……」
「ともくん」と飛行機の長さはほぼ同じくらいで、やや飛行機のほうが小さかった。
が、太さは「ともくん」の方が圧倒的に上回っていた。
智之は予想だにしていなかった展開に焦りを覚えていた。
(まさかこういう展開になるとは思ってもいなかったな……)



 とてつもなく巨大なメイドに捕らえられ、そして同じくらい巨大な男性器の横に並べられる飛行機。
その中にはもちろん沢山の乗客がいるのだ。
「これだとこの飛行機の中にいるこびとさんから見たら、どう見えるのかな」
「めっちゃ見られてると思う……」
「だよねー?これ、いっぱいの小人さんに見られてはずかしいよねー」
(あれ、もしかして由佳は……?)
この時、智之はあることに気がついたのだった。



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 もっとも、飛行機に取り残されていた乗客たちは窓の外から見える巨大な物体の正体に気付くことはなかった。
機内の小さな窓から見える範囲で、「それ」があまりにも巨大な男性器だと認識するのが難しかったということもあるが、理由はそれだけではない。
なぜなら、その時にはもう彼らは、意識を失っていたからだった。
由佳に機体ごと持ち上げられたときに、強烈な加速度で皆、失神してしていたからだ。
本人は軽く摘まみ上げた認識なのだろうが、実際の上昇スピードとそれに伴い生じた加速度は、
スペースシャトルの打ち上げ時以上のものであったという小人たちにとっては凄まじいものであった。
ただ考えようによっては、飛行機より巨大な男性器を目の当たりにすることがなくて、よかったのではないかとも考えられるのだが……



 大きさを比べるだけでは物足りなかったのか、さらに由佳は飛行機で「ともくん」をつっつき始めた。
何度か突っつくと、期待の先端部にあったコクピットが脆くなり、グシャッと押し潰されてしまった。
「ん〜、なんかさっきから翼が邪魔になってる……」
由佳は徐ろに機体の両方の主翼をパキっと折ってしまった。
もうこれで翼を失ってしまったこの機体は「飛行機」としては、まったく使い物にはならなくなってしまった。
由佳はなおも指で飛行機を摘んだまま、「ともくん」をいじっていた。
「ほんとちっちゃい上に壊れやすいんだから……」
由佳はブツブツと文句を言っているのだが、残念ながら、航空機は巨大メイドのおもちゃにされることまで想定して、事前に強度設計が行われているわけではない。
「こうなったらもうスクラップにするしかないね」
これ以外にも代わりの機体なんてまだいくらでもある。
ここにある飛行機は全部、使い捨ての効くおもちゃだ。
だから、いらなくなったものは壊してしまおう。
それが由佳の出した結論だった。



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 「ふふ〜ん、使えなくなったやつはスクラップにしてやるんだから」
その言語を聞いた智之は由佳が単に手で摘み潰すでもして、機体丸ごとをスクラップにするものだと思った。
しかし、由佳が取ろうとしたのは智之を以てしても想定外の方法だった。
翼をもぎ取った機体を由佳は手のひらの中央に置き、そしていきり立った状態の智之のイチモツをその真上に持ってきた。
(って……まさか、コレで押し潰すつもりなのか?)
由佳の発想力に流石の智之も驚いた。
これが由佳の内面に隠された残酷さなのか……
それとも智之を恥ずかしがらせようとしてのことか。
それはともかく。
「さ〜ん、に〜、い〜ち♪」
終焉を告げるカウントダウンが始まった。
まもなく飛行機の上から飛行機より大きな巨大なイチモツが落下してくる。
機体の耐久性を考慮したとしても破壊を免れるとは、到底、考えられない。
この機体と乗客の命はもはや風前の灯火だった。



 「ぜろっ♪」
次の瞬間、由佳は摘まんでいたイチモツをパッと離した。
ギロチンの如き、恐ろしき処刑手段。
実行者本人からすれば遊んでるに等しいということが、恐ろしさにさらに拍車を掛けている。
違うのは斬り落とすのではなく、押し潰して終焉を導いたことだ。
機体は何の抵抗なく、あっさりと智之のイチモツで押し潰されてしまった。
由佳の手のひらには機体の残骸が無残にも広がっていた。
「ホントに潰れちゃった♪」
もはや飛行機も智之のイチモツ、どちらも由佳のおもちゃにされていた。
一機潰してみただけでは物足りなかったのか、由佳は残りの機体も同じようにして智之のモノを使って潰していった。
(今、おち○ちんって言ったな……珍しいこともあるもんだ)
智之は智之で妙なところに感心していた。
「言わせたがり」としてはうれしいことだった。



 自分が弄ばれているこの状況はさておき。
どうも由佳は大きな勘違いをしているのではないかと智之は感じていた。
由佳が楽しそうにしているのを見ると、中々、言い出しにくい。
それを指摘しようかどうしようかと悩んだ末に、結局、智之は正直に告げることにした。


<つづく>