########################## 4-6-2. 前言撤回。初志貫徹。 どっかの政治家のように行動がブレているようだが、実はブレていない。 着替えが終わるまで大人しく待つなんてのは、由佳の目を欺くためのものである。 智之が大人しく待っていると思い、由佳は少し油断している。 この隙を智之が見逃すはずがなかった。 狭い空港島の中で二人が背中合わせでいる以上、智之から由佳が見えない。 それ故、当然のごとく、由佳から智之を見ることはできない。 そのことを利用して、智之は由佳の気付かぬところでこそこそと何やら怪しい工作活動を行っていた。 智之は「視点」を空港島の対岸に置いた。 この「視点」はいわば遠隔操作可能で、しかもどこにでも潜入可能なカメラのようなものである。 分かりやすく言えば、超能力でいう「透視」に近い。 この力を使えば、たとえ対象物を直接見ることが出来ない状況であっても、 視点を次々に変えていくことで楽々と障害を乗り越えて視ることが可能となる。 (透視能力を使って着替えの覗きって、随分と古典的だよな〜) 由佳と背中合わせの状況下で、由佳の着替えを覗こうとするにはこの手を使うのが一番簡単だった。 智之は意識を「視点」の遠隔操作に集中させる。 これもそんなに難しい作業ではないので、パッパと準備をする。 もう遠慮なんて要らない。 智之は早速、由佳の着替えを覗き始めていた。 「おっ、見えた見えた……おおぉ……スバラシイ……」 智之には思わず顔がにやけてしまうほどの桃源郷が見えていた。 * 智之が「透視」を開始した頃、丁度、由佳はさっきまで着ていた制服をすべて脱ぎ捨てていた。 由佳によって、脱ぎ捨てられた衣服が滑走路から空港のターミナルビルまでの広い範囲を覆い尽くしている。 もちろん由佳は、ブラジャーと下着以外の衣服を身につけていない無防備な状態だ。 着替えを覗くには非常においしい場面。 由佳の色白のやわらかそうな肌が遠くからでもとても眩しく感じられる。 由佳に言うと怒られそうだが、全裸よりも何かしらを身に付けた下着姿の方がなんとなくそそられると智之は常日頃感じていた。 要するに、着衣派であった。 (しかしホント、女の子の体ってキレイだよな……) 二人でいちゃいちゃしているとき、由佳の体に顔を密着させてみるとその綺麗さに惚れ惚れした覚えがある。 近くで眺めてもいい。 遠くから眺めてもいい。 由佳が自分の彼女ということを差し置いて見たとしても、智之が抱いた感想は変わらないだろう…… (まぁ、由佳以外のは残念ながら生なんかじゃなくて、動画とか写真でしか見たことないけど……) ちょうどその時、由佳が何か思いつめた顔をしていたことに、着替えを覗いてはぁはぁしていた智之は気付いていなかった。 * (何だか、最近ブラがキツくなってきたのは気のせいかな…… ここが仮想空間だからってのは関係なさそうだし……最近はいつも、そうだし…… うぅ……やっぱり智之が事ある毎に触ってくるから、おっきくなったりしてるのかな……) 「胸は触られると大きくなる」というよくある俗説を信じたくはないけれども、気にしていた由佳であった。 「胸はないよりはあった方がいい」と由佳自身も一応、思っている。 そもそも由佳の場合、身長の方の発育はさほどでもなかったが、胸の方の発育は大変にすばらしかった。 由佳も胸が小さめの友達から羨ましい目で見られることもあって、自分の体の中ではちょっと自信があった。 それに、智之が自分の胸を好き好んでくれることもやはり嬉しかった。 ただ、やはり胸が大きくなってくることはいいことばかりではなく、その満ち足りた分の相応の負担が由佳に生じていたのだ。 * 由佳が下に置いてあったメイド服を拾おうとして、ブラジャーに包まれたおっぱいが下に垂れ下がった。 その形状と大きさはまるで小さな山のようだった。 (アレ、一体どれくらいの重さになるんだろう……) いつも自分の片手に収まる由佳のやわらかいあのふくよかなおっぱい。 あのやわらかそうな膨らみを見ているだけで何だか心があったくなり、幸せになってくるすばらしいものだ。 それが今はなんと1000倍の大きさだ。 いつも由佳を見慣れているせいで大きさ感覚が狂っている。 由佳の近くに丁度いい比較対象物がないのが、残念だ。 だが、おそらくきっと小人の街の建物なんか比較にならないほどの大きさはあるに違いない。 それに重さだけでも計算してみるとおっぱい一つを0.5kgとして、その1000倍の三乗……となんと50万トンにもなる。 きっとあのおっぱいを地面に置いてちょっと動かすだけで、小人の街なんて一掃出来るのではないかと…… 由佳がサディスティックな笑みを浮かべながら…… 「小人さんの街なんて、私のおっぱいで全部潰れていっちゃうね♪」 とか言ったりして…… 巨大な由佳が小さな街の上に寝そべって、大きな胸を押し付けて街を一掃していく…… そんな光景を智之は頭の中に思い浮かべていた。 (こいつはやべえな……) そう思いつつ頭の中のリクエストリストに追加した。 * そんなアブない妄想に智之が耽っている間に由佳はメイド服へと着替え終えていた。 「智之〜、着替え終わったよ。もう、こっち向いてもいいよ〜♪」 「お、おう……わ、わかった」 着替えの終了を生で見ていたので、そろそろ覗きをやめようかというところで声を掛けられた。 「ん、どうかしたの?」 「い、いや、何でもない。ちょっと考え事してた……」 ちょっと応対が変になってしまったが、幸いなことにあまり由佳に不審がられることもなく、着替えを覗いていたことはバレなかった。 「どうせま〜たヘンなこと考えてたんでしょ……ったく〜」 「えーっと、まぁ、それはそれだ。この後、どういうことをしようかと思案してたわけなんだ」 「それをヘンなことって言うのー」 由佳は呆れの表情を浮かべていた。 そして改めてメイド服に着替え終わった由佳と向き合う。 「それはさておき。ふむ。ふむふむ。なるほどね。うんうん。 由佳はやっぱりメイド服は似合うなー。たまんないなーこのかわいさは。 いや、本当にすばらしい。バンザーイ」 今回、由佳が着ているメイド服は智之の趣味によりかわいらしさを重視したモノだ。 フリルが多めで、メイド服としては実用的とは言えない。 そして、重要な脚周りは白いストッキングに黒のストラップシューズという王道構成。 「喜びすぎだって……」 「いやいや。全然、過剰じゃないよ。これくらい」 「そうなの?」 やたら熱く興奮気味に語る智之とは対照的に由佳はやや冷めた感じで答えた。 「一人の女の子として、こういうかわいらしい服を着るとどんな感じなんだ?」 「ん〜っとね、メイド服を着てあげるのは、まぁ、いいかな〜って思うようになってきたんだけどね。 やっぱり、恥ずかしさは残るけど、一応、服自体はふりふりでかわいいし…… それで智之が喜んでくれるなら、ね?」 由佳は恥ずかしさも含ませつつ、笑顔を見せてこう語った。 由佳ががんばってコスプレしてくれるたびに智之が「めっちゃかわいい」やら「よく似合う」だのと、これ以上ないくらい褒めて褒めて褒めまくってきた。 それだけのことはあって、由佳の方も最近では割とコスプレに対して乗り気になってくれるようになった。 何度も着ることでだんたんと慣れてきて、普段とは違う自分になってみる恥ずかしさが薄れてきたこともあるだろう。 「世の中には、彼女が自ら進んでコスプレしてくれているというのに、大して喜びもしない男の風上にも置けぬ愚か者がいるらしい。 けど、オレは違うよ」 「うん、その点智之は素直に喜んでくれるからいいかなって、思ってる…… けど、やっぱり目付きがヘンになってる……」 「いやいや、彼女にコスプレをしてもらっておいて、普通でいろという方が無理があると思うんだけどな」 「そう?」 「そういうもんだって」 由佳は智之から説明を受けてもまだ男心が理解出来ていない様子であった。 * 「それでさ、メイド服に着替えた以上、メイドさんになりきって、オレのこと名前じゃなくて『ご主人様」ってかわいい声で呼んでほしいんだけど?」 「いーや」 智之のたってのお願いもむなしく、由佳は瞬間的に拒否した。 「えええ、呼んでくれないのかよ……」 「だーめ。智之は智之なの。『ご主人様』って呼ばれるには格ってもんがいるでしょ。 それに、そもそも智之って『ご主人様』っぽくないもん」 と、由佳はよく分からない理由を述べた。 「何で?どこが?」 「だって、すんごくエッチだし、変態だし……それにお金持ちじゃないし〜♪」 「前の方は事実として認めるとして、譲歩できるけれど……金持ちじゃないからって……」 「メイドさんとかがいっぱいいるお屋敷の御主人様ってのはロマンスグレーのオジサンで紳士で優しくて、 おっきな豪邸に住んでいるすっごいお金持ちっていうようなめちゃくちゃベタなイメージがあるから……」 「お金がないのも仕方がない。何せオレはまだ学生なんだし」 「なら、やっぱりダメ」 またしてもあっさりと却下されてしまった。 「えええええ」 「贅沢言わないの。智之のことはあくまで智之としか呼ばないもん。 そもそも、私が智之のお願いを聞いてこうしてメイド服着てあげてるだけでも、感謝して欲しいくらいなのに」 「むむむ」 由佳の言うとおり、感謝するべきは智之の方かも知れない。 「でしょ?」 由佳に対して、智之は有効な反論をすることができなかった。 こうして、由佳に「ご主人さま」と呼ばれたいという智之の希望は儚くも叶うことはなかった。 「でもね、智之がこういうことして欲しいのなら、まぁ、いつもと言うわけじゃないけど…… そうね、たまにならやってあげるから、安心して♪」 少しへこんでしまった智之を見かねたのか、由佳はこう言った。 「マジでっ!?そ、それは巨大化も含めてということで?」 「さぁ、どうでしょうね〜。それは私の気分次第かな」 「むっ、さっきから由佳は素直じゃないなー。素直にならないメイドさんはこうしてやる」 そう言うと再び智之は由佳を引き寄せて抱きしめた。 女の子特有の甘い匂いが智之の鼻腔を刺激する。 男はこの匂いに骨抜きにされてしまうものだ。 「うんうん、かわいいなー由佳は」 いつも流れで由佳の頭をなでなでする。 由佳の小柄な体格の割には豊かな胸が智之の体と接触する。 「あんなにも大きかった由佳だけど……今はちっちゃくてかわいいなー」 「むぅ……ちっちゃい言うな!」 由佳のことをちっちゃくてかわいいと褒めると大体こんな感じで言い返されてしまうのはいつものお約束。 女の子らしく由佳はこうして抱きしめられるのが好きなようだが、抱きしめる身にもメリットはある。 (役得役得……♪) * 「ちょっとさ、しばらくの間じっとして欲しいんだけど?」 「また何かするの?」 抱きしめられたままの由佳が智之の方を見上げた。 智之にとっては、この上目遣いがたまらなく感じる。 「まぁ、いいからいいから。今からオレが何をしようかってのは、すぐに分かるからさ」 由佳の疑問に答えることもなく、智之はさっとある「操作」を行った。 すると智之の背がだんだんと縮み始めた。 通常時で20cm、現在換算で200m。 おおよそ頭一つ分あった二人の身長差が縮み始めて、まもなく無くなった。 「これで由佳と同じ身長になったわけでどうかな?」 二人が同じ目の高さで向き合っていた。 「あ、そっか。大きさを変えるたってすっごく大きくなったりするんじゃなくて、身長を変える程度のことも出来るんだ」 「そそ。まぁ、簡単な操作だからね」 「智之と同じ目線となんか新鮮〜♪」 いつも由佳が智之と顔を合わせる際にはどうしても見上げる格好になってしまう。 それが今、二人はほぼ同じ身長である。 由佳の目には、目新しく映ったのであろう。 そして、智之はさらに自身の体を小さくし始めた。 * さらに縮小化を続けた智之は自分の顔が由佳の胸の位置になる程度にまでなっていた。 「わーい、由佳のおっぱいが目の前にある」 ポフッ…… 智之は顔を目の前にある由佳の胸に埋めた。 やわらかな肉の塊が顔の両側から押し付けられ、すごく心地良い。 「あーしあわせー」 智之はこのうえない至福のひと時を堪能していた。 「ち、ちょっと何やってるのよ……」 由佳は驚きはしているものの、さしたる抵抗もせずに智之を受け入れていた。 「一回、これやってみたかったんだよ」 「って別に、前からやってるじゃん」 由佳の言うとおり、普段から由佳が座っているところに智之が寝転がって、 今やってるのと同じように豊かな胸に顔をうずめるということはやっている。 が、しかし。それは似て非なるものである。 「普段と違うのは立ちながら顔を胸に当ててるところだよ。 今みたいにオレの身長が結構低くならないとできないだろ?」 「そりゃ、そうだけど…….いつもとあんまり変わらないんじゃない?」 「いやいや。オレからしたら全然違うんだよ」 この身長差のある状況を現実世界で再現しようとするとなると、 モデル並みのかなり大柄な女性と中学生くらいの体格の小柄な男性でないと成立しない。 なので、現実世界の智之と由佳の体格差では到底不可能だ。 しかしながら、この「ゲーム」の世界だと、あら不思議。 自分や他人の体の大きさを自由に変えることが出来るので、こんな一風変わった芸当も可能となるのだ。 「んーたまんねー」 「あっ……智之の大きくなってる……」 密着していた由佳の体に智之の「息子」が当たっていた。 彼の「息子」はゲームが始まってから、ほぼずっと反応しっぱなしで、爆発をズボンの中で抑えつけられていたのだ。 「あ、ゴメン……」 「……えっち」 「し、仕方ないだろ、さっきから由佳の着替えを見てたわけだし……」 「着替え……見てた……?」 「あっ……..」 * 何ということだろうか。 ここに来て、とんでもなく深い墓穴を智之は掘ってしまった。 「あっ…………あーー」 「と〜〜も〜〜ゆ〜〜き〜〜」 とても由佳が出しているとは思えないような、そうまるで地獄の底から沸き上がってくるような恐ろしい声で自分の名前が呼ばれていた。 智之の目には由佳の背後で闇のように黒い怒りの炎が燃えたぎっているように見えた。 「あ、いや、その、かわいかったよ?ほら、下着とか……由佳の肌も白くて惚れ惚れするくらいキレイだし……」 もちろん、こんな状況で下着のかわいらしさやら肌のキレイさを褒めたところで、 こっそりと着替えを覗かれていた由佳の怒りが収まるはずなどなく、智之の背中をポカポカ叩き始めた。 「ど〜して智之はこうもエッチでヘンタイでスケベで覗き魔なのよ……」 「どうしても見たかったからつい……」 「あれだけ、見るなって言ったのに……」 「だって、由佳かわいいし、着替えるところエロいし……」 「そういう問題じゃないの!!!」 いつもなら軽く由佳の攻撃を捌くことができるはず。 だが、智之にとってタイミングの悪いことに、今、二人の身長差が逆転してしまったこの状況下で、由佳には逆らえなかった。 まさに自業自得の極まりである。 「いや、ホント、ごめん。まじでゴメン」 「だめ!許さない!!着替え覗いたりする子はお仕置きしてやるんだから!!!」 由佳の怒りは本物のようだった。 智之も今回ばかりは焦り始めていた。 「こうなったら智之にも同じように恥ずかしい思いさせてやるんだから……いい?覚悟しなさい!!」 「わ、ちょっと待ってくれって。心の準備が出来てないって」 「う、うるさいっ。オシオキするったらするの。だから、じっとしなさい……」 そう言うと由佳はおもむろに智之のズボンのチャックを開けて、中で大きくなってる智之の「息子」を取り出した。 「由佳、一体全体何をしようと?」 「だから、オシオキって言ってるでしょ……. メイドさんの着替えを覗く、悪いご主人様にはきっつ〜いオシオキが必要なの……」 やや落ち着きを取り戻した由佳の顔には静かなる怒りの表情が表れていた…… <つづく>