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5-2.




 臨海部の工業地帯を壊滅させた後に由佳がやって来たのは市内の住宅地。
その美しく巨大な素足で、今度は立ち並ぶ戸建て住宅を踏み潰していく。
その一踏みで軽く5、6戸は踏み潰すことが出来た。
先程の工場の建物と比較すると高さ的にも広さ的にも小さな建物が多く、踏み潰していく方がやりやすい。
1軒も潰し残しがないように虱潰しに住宅を踏み躙っていく。
ポツポツとある比較的、大きなマンションや団地は足裏で押し倒すような一撃で、まるごと一棟を一瞬で倒壊させる。
マンションや団地のような建物だと足の大きさと近いので、壊し甲斐があって、ちょうどイイ感じのおもちゃになる。
戸建て住宅は小さすぎてちょっと物足りなく感じる。
だが、何戸かまとめて踏み潰すとメキメキと潰れていく感触が足の裏全体で感じ取れて、気持ちいい。
こうして何の罪もない善良な市民が暮らす街を破壊して、蹂躙していくことにもう特に罪悪感は感じなくなっていた。
「ここは仮想現実だから何をしてもいいんだよ」と智之から投げ掛けられた言葉。
それが由佳の秘められし被虐欲望を刺激して、残酷な行為をさらにエスカレートさせていたのだった。



 そんな中、地上の見下ろす由佳の目に付いたのは、同じような家が立ち並ぶ住宅街の中で、ひときわ異彩を放つ大きな豪邸。
上から見下ろしてもその大きさ故の存在感が感じられる。
その広さは敷地面積だけでも、周辺の一般的な住宅の20倍はあるんじゃなかろうかというほど。
屋敷の敷地を取り囲むように、城壁のような立派な生け垣が設けられていた。
その内側の広い庭には、屋敷の離れ、白く美しい玉砂利が敷き詰められた石庭に高級錦鯉が泳いでいそうな瀟洒な小さな池があった。
さらには車が何台も止められそうな大きなガレージようなスペースまであるのが分かる。
屋敷の母屋の建物もこうして上空から見下ろすだけでもその広さは言わずもがな、建物自体も相当、立派なモノだと分かるほどだ。
こんな大豪邸に住んでいるのは、この街で一番の資産家ではないかと邪推してしまう。
「ふ〜ん、随分と立派なお屋敷ね……」
そう言った次の瞬間、由佳は屋敷の母屋の建物を踏み潰していた。
巨大な人間の足が空から落ちてきて、築半世紀以上の趣きと風情ある木造建築がほんの一瞬で、ただの瓦礫の山と化してしまった。
あっという間に屋敷の母屋を全て壊した後、離れとガレージも余すところなく、まとめて踏み潰していった。
由佳は気付きもしなかったが、ガレージにあったのは、どれもが庶民の目玉が飛び出すほどの値はするクラスの超高級自動車であった。
もちろん、これらの高級車も踏み潰されて、ただの鉄クズになった。



 そして、最後には瓦礫の山をさらに粉砕するかのように屋敷の敷地全体を力を込めて、念入りに踏み躙っていった。
「いくら立派なお屋敷と言っても、所詮はこの程度なのね」
どこか満足気な表情を見せつつ、由佳は侮蔑の言葉を投げ掛ける。
何が由佳の逆鱗に触れたのか、定かではないものの、何時になく破壊の仕方が残酷かつ非道である。
地上を見下ろし、蔑むような冷たい視線も合わさって、より一層、恐怖感を煽る。
(何だか由佳が怖い……)
屋敷を素足で踏み躙っている時の表情・言動は共に智之ですらもはや軽く恐怖を覚えるほどであった。
本人は自覚しているのか定かではないが、こうして智之ですら震え上がらせるほど、由佳は嗜虐的な表情を見せることがあるのだ。
こんな表情は日常生活ではまず見られない。
自分しか知りえないと思うとゾクゾクと快感とも恐怖とも付かぬ複雑な感情が自然と沸き上がってきたのだった。



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 住宅街を破壊し終えた由佳は中心部とは反対の郊外方面へと歩き出した。
郊外エリアともなると住宅の数は段々と少なくなり、一帯には国道沿いに展開したロードサイドタイプの飲食店や店舗が点在していた。
さらにそこから少し離れたところはもうほとんどが田んぼや畑であった。
そんな場所を由佳は念入りに潰していった住宅街とは違い、半ば気まぐれに無差別に踏み潰していった。
田畑に踏み込んで、土で足が汚れることももはや気にしていないようだ。
ふと由佳の目に止まったのは、大型ショッピングモール。
高さは4,5階建てといったところか。
さらにその横には、由佳から見ても広いと感じるほどの広大な屋外駐車場が併設されている。
ショッピングモールの建物自体も駐車場と同じくらいの面積はありそうだ。
あれだけ大きいと壊し甲斐もありそうだ。
次なる獲物を決めた由佳はそのショッピングモールを目指し、一直線に歩いていく。
進路上にあるものは圧倒的に巨大な存在に無抵抗のまま蹴散らされていく。
地上にあるものは障害物にすらなりえない。
由佳が歩くところがすべて道となっていた。



 由佳がショッピングモールを見つけてから、わずか数十秒ほどでその場所にたどり着いた。
足元に並んでいる車もカラフルな砂粒のような物にしか見えない。
小さな虫みたいな生き物がチョコマカと動いているがこれが小人なのだろう。
「小人」がいると分かっていてようやく認識できたが、知らなければただの虫にしか見えない。
何もかも小さくて息を吹きかけるだけで全部、吹き飛んでいってしまうそうだ。
駐車場の大量の自動車を一々、踏み潰していくのも面倒臭かった。
なので、ターゲットをショッピングモール本体に絞る。
ショッピングモールの正面玄関の前で左足に重心を掛け、片足立ちになる。
建物の屋上にも駐車場があり、ここにも沢山の小人たちがいた。
彼らは皆、巨大な由佳を見上げて泣き叫び、パニックになっていた。
目の前に聳え立つ巨大女が自分たちを見逃すはずがないと悟っていたからだ。
それでも中には命乞いを始めるものもいた。



 が、その必死の叫びも遥か上空の由佳の耳に届くはずがない。
巨大女は何を思ったのか笑みを浮かべた。
自由になった右足を建物の上空でぶらぶらさせてみる。
一応、牽制のつもりだったが、すぐにまどろっこしくなった。
建物の中央部に真上から足を豪快に突っ込み、6階に位置する屋上駐車場から1階まで一気にぶち抜く。
ショッピングモールのど真ん中に巨大な穴を穿ち、美脚の塔を突き立てる。
これまた気分がいい。
由佳の破壊欲望がまた少し満たされる。
そこから足で建物を掻き出すようにして、手前に引っ張ってくる。
大して力を入れる必要もなかった。
簡単に建物の中から引き出してくることが出来た。
ショッピングモールの建物中央部が恐ろしい異様な抉れ方をしていた。
かなり荒っぽい破壊方法だが、それでも由佳は痛みはもちろん、足に傷の一つすら負っていない。
その立ち振る舞いは下々の民など虫ケラのごとき存在でしかないと考え、世に君臨する傍若無人な暴君そのもの。
小さな世界を欲望のまま蹂躙していく巨大な破壊の女神の姿がそこにはあった。



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 (なんだかんだ言ってもやっぱり楽しんでるみたいだな……)
智之は由佳の表情を垣間見て、確信した。
自身の経験と由佳の性格を踏まえて、彼女が巨大化した時の心情を予想していた。
やはり、予想は外れてはいなかった。
まだまだ巨大化に慣れないところもあり、気恥ずかしさもあるのか、積極的になれてない面も確かにある。
素直に巨大化したことを楽しんでいるとは認めてはいない。
これも智之の予想通り。
だが、巨大化する快感に由佳が染まりつつあるのは確実。
この後も含めて、今日一日、大怪獣気分を満喫すれば、この快楽と欲望の渦から抜け出せなくなることは間違いなし。
現に口では言わないけれども、破壊行為を行なっている時に見せるその嗜虐的な笑み。
破壊と蹂躙を完全に楽しんでいる表情だ。
近い内に由佳の方から巨大化したいと言ってくる日も来るだろう。
いや、由佳のことだから素直には言ってくることはないか。
それはそれでよし。かわいいから。
智之は施してきた「調教」の成果に満足気だった。



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 「そうだ、ついでにあそこにあるのも全部、踏み潰していってよ」
智之も由佳の視線の先にあるモノの存在に気が付いたようだ。
ショッピングモールに程近い場所にこれまた広大な敷地を有する施設。
そこは、とある鉄道会社の車両基地であった。
普段、この時間帯、この基地では朝夕のラッシュ時に駆り出される車両がお昼寝をしている場所である。
スク水大怪獣由佳が襲来した今となっては、もはや今後、その役目を担うことは無くなってしまったのだが……
智之が詳細な指示を出す前に由佳は躊躇うことなく基地に侵入した。
基地内に踏み込んだその一歩で一番外側とその隣の留置線に停まっていた車両を踏み潰した。
各々の電車は細長く、建物のように一度に編成の全ての車両を踏み潰すことはできない。
なので、数編成ごとをまとめて何度かに分けて、踏み潰していった。
年式が古いタイプの鋼製車両も強度と軽量さを売りにする最新鋭のステンレス製車両も大して差はない。
由佳の巨大な素足の下でみな等しく、飴細工のように押し潰されていく。
巨大な足が取り除かれた後、あらわになったモノ。
もはやそれが電車であったとは決して分からないほどまでに、平べったく潰された合金属の板だった。
瞬く間に留置線に停車していた車両がほとんど踏み潰されてしまった。
車両基地に隣接していた保守管理施設や小さな駅舎も問答無用で、一撃で根こそぎ破壊されてしまった。




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 車両基地を後にして、何か獲物がないか探してみる。
ショッピングモールと車両基地を破壊した後、この辺り一帯に未だに健在している建物は、田畑が広がる中にポツリポツリと散らばって存在している住宅がある程度。
また普通の住宅を踏み潰していくのは面白くない。
場所を変えたほうが楽しめそうだ。
(そういえば……まだこの街の中心部は水浸しにしただけで、すっかり放置してっけ……)
由佳は、そのことを思い出した。
視線を街の中心部の方へと移し、街を貫くようにして流れる川の方を見てみた。
すると、川の堤防が市街地の数カ所で決壊していた。
そこから川の水が大量に内部に侵入しているようである。
今もなお、浸水は止むことなく続いている。
察するに、海から逆流してきた大波によって、堤防は破壊されたようだ。
これでは、水が引くどころか益々、市街地の浸水範囲が拡大していくだけである。
どうやら海と川の両方向からの浸水で、より一層、甚大な被害が発生しているようだ。
(ちょっと手を動かして波を作っただけなのにこうなっちゃうんだ……)
ほんの悪戯心で行った行為がこんな大惨事を引き起こしているとは……
またしても今の自分自身の力を思い知る。
なんとなく川の周辺の街の様子が気になったので、そちらに向かってみる。



 いざ到着して、足元の浸水した街の様子を観察してみると被害の規模は由佳の予想以上であった。
押し寄せてきた海からの波によるところも確かにあったのだが、それ以上に街を水浸しにしているのは川からの浸水の影響であった。
ちょうど川が進路を変えているあたりの堤防が決壊していた。
そこから街の中心部の方へと大量の川の水が流れ込んでいた。
見た感じでは上流から流れてくる水の半分近くが本来の流路を外れて、崩れた堤防から街の中へと入ってきている。
川から流れ込んだ水は街を余すところ無く、水に沈めていた。



 今度はさっき土で汚れた足を洗うついでに、川の中に足を置いてみた。
偶然にも川幅と由佳の足の大きさはほぼ同じだった。
ということは、実際の川幅は100メートルオーバーといったところか。
頭の中で計算してみて、予想以上に大きな川なんだと認識する。
しばらくすると足で流路を塞がれた水が踝の高さまでせり上がってきた。
足で堰き止められた溜まり始めた水が、行き場を失い、逆流し始める。
そして少し上流に位置する堤防の決壊箇所から市街地の方へと流れ込んでいく。
由佳は崩壊した河川堤防と川の中に置いた足を見下ろしながら、あることを思いついた。
これを思いついた由佳自身、かなり残酷なやり方だと思った。
(こんな世界、全部私のオモチャにしてやるんだから……)
海軍の艦隊を弄ぶことが出来るほどの大巨人になり、赴くまま街を蹂躙して、さらに破壊欲望が強められた由佳が今さら躊躇することはなかった。



 堤防の決壊した箇所は流水の侵食を受けて、かなり脆くなっていた。
コンクリート製の頑丈な作りの堤防も強固な外装がなくなってしまえば、大したことはない。
水分を多量に含んだ柔らかい土砂が積み重なっただけの山など、もはや堤防と呼べる代物ではない。
由佳は土砂が剥き出しになっている部分をつま先で崩していった。
脆くなった堤防はなし崩し的にボロボロと崩れていく。
そして、本来の川の流路に堤防を崩した土砂をぐいぐいと押し出す。
その場で土砂を高く盛り上げて押し固めていった。
ものの数分で、造りは粗いが元の堤防より数段、大きな土砂ダムが川の本流が流れていた場所に出来上がった。



 すると流路を「ダム」で塞がれ、行き場を失った大量の川の水はどうなるか。
答えは簡単。
すべて決壊した堤防から内側へと流れていき、さっきまで流れ込んでいた倍の量の水が市街地に流れ込みだしたのだ。
海から押し寄せた水に沈んだところに、今度は、川からの水が押し寄せてきたのだ。
結果的に、河道に土砂で小さなダムを作って流れてくる水を堰き止め、作為的に流路を変えて、崩壊した堤防から上流の川のすべての水を街の中に流し込んだのだ。
住宅街の道路を川のように大量の水が流れていく。
決まった流路を持たない水はあてもなく低い場所を探し求め、市街地をさまよい続ける。
そして由佳はその場を後にした。


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 由佳が街の中心部を突っ切る形でズンズンと歩いていく。
智之から指示があり、街の中心部からまた郊外方面へと移動することになったのだ。
地上は一面、水浸しで由佳がその上を歩くと足の裏がヒタヒタと水に浸かる感じだ。
この辺りは繁華街なのか、雑居ビルやマンションなどそれなりに高さのある建物が水の中に立ち並ぶ。
が、いずれも由佳の進路の妨げとは成り得ない。
上から踏み潰すなり、つま先で押し退けられるなりでことごとく破壊されていく。
由佳が歩いた跡にはガレキの山で出来た大きな道がちょうど街を貫くように切り開かれていた。



 「んじゃ、そのあたりでストップ、由佳」
由佳が立ち止まったところは海からかなり距離があった。
加えて、少し標高もあるところなので、さすがにこのあたりまでは浸水の被害はなかった。
由佳が足元を見ると、自分の足よりも遥かに小さな家やマンションがいっぱいあった。
どうやらここも街の山の手にある住宅街のようだ。
意識はしていなかったが、軽く十数戸は由佳の足の下敷きになってしまっている。
「それにしてもかなりめちゃくちゃに破壊していったね。どう、楽しかった?」
「……」
「怒ってるようには見えないけど?」
「……うるさい。怒ってないったら怒ってないの!」
「じゃ、照れてるだけか」
「……バカ……」
素直じゃないのもただの照れ隠しなだけのようだ。
こういう反応をする時はいつもそう。
怒っているわけでもなく、小人の街で暴れ回っているのがつまらないわけでもなく、ただ素直になれないだけ。
逆に、いじめたくなってしまうほどかわいいのだ。
(まっ、あとでたっぷりとイジめてあげるつもりだけどな……)



「それじゃ、今から由佳を少し小さくするよー」
「えっ!?ちょっと!?」
突然の智之の言葉のうちに、みるみるうちに由佳は、5分の1の大きさになった。
ただいくら5分の1になったと言っても元が元なので、まだ通常の100倍という尋常ではない大きさだ。
「由佳〜、海から上がったらスクール水着を着ている意味ないよね?」
「まぁ、そうだけど……でもどうしろって言うのよ。今は着替えの服もないんだから……」
「そこは大丈夫。ちゃんと由佳のために着替えの服を用意してあげといたから。はい、今から服をそっちに送るよ〜」
何もなかった空中から突如として服一式が出現して、真下にドサッと落ちた。
現実世界では考えられないようなやり方も仮想空間ならではと言ったところか。
「もちろん服も由佳のサイズに合わせて、ちゃんと100倍サイズにしてあるからね〜」
100倍サイズの服は小人の家を自重で押し潰していた。
由佳は、届けられたばかりの服を広げてみて、驚いた。



 「服って、ちょっとこれ、私の高校の時の制服じゃないの!?どういうつもりなのよっ!?」
「ん、どういうつもりって、由佳の高校の時の制服を着せるつもり〜。一度でいいから、由佳の現役女子高生姿を拝みたかったからさ」
「うぅ……いつか、そう言うと思ってた……
 けど、どうやってここに持ってきたのよ!?まさか変な店とか、オークションで買ったんじゃないでしょうね?」
「違う違う、現実には持ってないって。まぁ、欲しいけどね。本当は、ネットで由佳の高校のホームページにいって、
 制服紹介のとこにあった写真を頑張って覚えて、データを作って、ここに出してみたわけ」
「ふ〜ん、そんなことも出来るんだ……って、話の本題はそこじゃないの!」
「あっそうだね、早く由佳にその制服を着てもらわないとダメだね。ささ、早く早く着替えてくれ」
智之は由佳の制服姿を拝みたく、まくし立てる。
「こんなところで着替えさせられるなんて……私の裸がどこからでもまる見えじゃない!」
「大丈夫だって、実質、見ているのはオレだけなんだから。そこらへんにいる小人は全部、実体のないただのNPCでデータ上の存在だし。
 もしそれでも小人の視線が気になるのなら、『見たら踏み潰すわよ』って小人さんたちに凄めば、勝手に逃げていくと思うよ」
「どっちにしても智之が見る以上、恥ずかしすぎるもん、こんなことするの……」
「見たいなー、かわいい由佳が着替えるところ」
「ダメったら、ダメッ!!」
また智之と由佳との間で押し問答が始まった。



 そして、こんな状態がしばらく続いて、案の定、ついに由佳が折れた。
「わかったわよ、もう。こんなことしてあげるのは、本当に今日だけなんだからねっ」
「わーいわーい、おっきな由佳タソの生着替えが見れる」
智之の口から思わず本音が漏れた。
「なんで着替えなんか見たがるのよ……そ、そんなに見たいものなの?」
「うん」
「……即答されたし……少しは否定してよ……」
「何を今更、恥ずかしがってんの?今まで散々、オレに裸になっているところを見られてるくせに」
「うぅ〜、今日の智之いつもよりヒドい……」



 こうして一悶着あった後、恥ずかしさのあまりに頬を赤らめつつも、由佳が着替え始めた。
まずはスクール水着に手をかけて脱いでいく。
さっきまで海に居てずぶ濡れ状態のため、水着が肌に密着していて、中々思うように脱げない。
肩の紐を腕から抜くだけでも手間取っていた。
悪戦苦闘しつつも何とか肩紐を脱ぐ出来た。
由佳の白く美しい乳房があらわになり、ぷるんと揺れた。
智之はその光景に思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
思えば、巨大化した由佳のナマのおっぱいを拝むのは今回が初めてだったからだ。
いくら見慣れたものとはいえ、やはり巨大化した状態で見るのはまた格別である。
小山のような大きさがあるこのおっぱいだけで一戸建て住宅の一つや二つはラクに押しつぶせそうだ。
そして水着が捲れていくにつれ、曝け出される白い肌の部分が大きくなってくる。
やっとの思いでなんとか水着を脱ぎ終えた。
脱いだ水着は智之の指示で街の上に放り投げた。
また巨大な水着の重みで建物が下敷きになってしまったが、そんな些細なことは今の由佳に気にしている余裕はなかった。
こうして下着も何も身につけていない巨大な由佳の全裸姿が世界に晒されていた。
Dカップを誇る由佳のおっぱいも女の子の大事なところも当然、丸見えだ。



 「あー、ちょっと待って。しばらくその状態でいて欲しいな〜。
 由佳のキレイな裸を小人さんの視点に立って見てみたいからね」
智之がむちゃくちゃな要求をする。
てっきり由佳には簡単に拒否されると予想して、冗談交じりに言ってみたのだが、意外なことに由佳は素直に要求を飲んだ。
そのまま、由佳は全裸のままで、しばらくの間、まるで巨大な女神像のように街の中心部にそびえ立っていた。
こんな怪獣のように大きく、そして可愛すぎる由佳を言いなりに出来るのは自分だけだ。
そう思うと自身の中にある独占欲と支配欲が満たされた。
愛しい彼女を巨大化させ、世界を意のままに蹂躙させていく……
また一歩、快楽の泉に踏み込んだ。



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 「ねぇ、もうそろそろ服を着てもいいでしょ?」
「そうだね、俺の言うこと聞いてくれてありがとう」
「べ、別にお礼なんていいわよ、もうっ……裸なら智之にはもう散々、見られてるし……ふ〜んだ」
さっきの無理なお願いでちょっと怒らせてしまったようだ。
照れっぱなしの由佳は、服と一緒に届けられたバスタオルで体を拭いて、
下着も着けて、それから、いそいそとかつて着慣れた制服を着始める。
(この下着は、去年のクリスマスの時に着てあげたものね……智之が気に入ってくれてたんだ,,,)
真っ白のブラウスに袖を通し、それぞれのボタンも忘れずに留めて、タータンチェックのプリーツスカートを履いていく。
由佳が着替えていく内に、彼女はあることに気が付いた。
(あれ……ウチの高校は靴下は校則で紺一色での物に限るって厳しく決められていたんだけど……
 これ、白いソックスじゃない……
 さすがに、HP見ただけのあやふやな記憶を元にしているから、ウチの学校の制服を完璧に再現した訳じゃないんだね……)
由佳はこのように予想していたのが、実際のところは違っていた。
智之が黒ローファー+白いソックスという妙なフェチを持っているためにわざと、自分好みにカスタマイズしたのだった。
少し前まで身に付けていた母校の制服に懐かしみを感じていた。
(1年ちょっと前までは普通に着てたわけだし似合わないなんてことはないハズ……)
誰かさんが重度の制服フェチで、こうして再び身に付けることになったのは夢にも思っていなかったのだけれども。
確かに由佳の母校の制服は可愛らしいデザインで女子生徒からは勿論のこと、周辺の学校の男子からも人気があったほどだった。
重度の制服フェチの誰かさんが由佳に着せようとするのは当然だった。



 気を取りなおして、由佳は着替えを続ける。
これまた懐かしいクリーム色の学校指定ベストもブラウスの上に着て、着替えもほぼ済んだ所で首元にブルーのリボンを付ける。
そして、最後にブレザーに袖を通して着替えが完了した。
こうして「巨大スク水少女」が「巨大女子高生」へと変身を遂げた。
着替え終わった由佳は恥ずかしそうに顔を背けていた。
(う〜ん、写真でしか高校の制服着てる由佳の姿は見たことなかったけど……
 仮想現実とはいえ、この眼で実際に目にしてみると段違いの破壊力だな……
 あまりの可愛さで今にも押し倒したくなるというか……)
「……智之?何してるの?」
由佳が声を掛けてきた。
「うん?由佳に見とれてた。いやーほら、今度は制服姿だし?すごく萌えるわけで……」
「……もう……ほんっとそればっかなんだから……」
いよいよ今度は、「巨大女子高生」になって暴れてもらえるわけで……
智之は高鳴る胸を抱きつつ、次なる指示を由佳に出した。



<つづく>

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