ギガメイドw


1、出会い

それは数日前のことでした。
ニートな私はいつものように町外れの丘で昼寝をしていると、
突然身体に重みを感じ、安眠の時間を邪魔されたのです。
一体どこの輩が不届きなまねをしたのでしょうか。
私は飛び起き、臨戦態勢に入ります。…が、敵はいません。
しかし様子が変です。何故か風景が青空に変わっているのです。
心なしか、雲の中にいるような、そんな感じさえします。
先程までは眼下に街が見えたのですが、どこに消えたのでしょうか。
代わりに、少し先には肌色の壁のようなものが見えます。
さては夢でも見ているのだと思い、私は頬をつねりました。
…痛かったです。お、親父にもぶたれたことないのにっ!
などと思っていると、空から声が聞こえてきました。
「はじめまして、御主人様。今日からお世話になります。」
……は…はい?ゴシュジンサマ?それっておいしいの…?
意味がわからず、とりあえず声のした方を見上げてみました。
はい、おいしかったです。もうお腹いっぱいです。
なんと、そこにはとびきり可愛い女の子がいたのです。
それもメイド服の。正確には女の子の顔でしたが。
とても大きいのですわぁ。空が顔で覆い尽くされています。
ポニーテールの髪も、街を薙ぎ払えそうなほど大きいです。
また、そこから視線を下げていけば、それはもう豊満なおっぱいが。
高層ビルよりも高く、ちょっとした球場よりも大きそうです。
そして、さらに視線を下げれば、私の周りを取り囲むように五本の柱が。
よくよく見てみれば、肌色の壁は指のようでした。
ということは、私はメイドさんの手の平にいるのデスカ?
あわわ、こんなに大きなメイドさんの御主人様に…?
「ええと、御主人様になってもらえますよね?」
…いいえ、無理です。僕ちゃん死にたくないです。
ですが、そう言うとメイドさんの表情が曇ってきました。
何か睨まれているような気がしないでも…。
「うんと言うまで地上に帰してあげませんよ…?」
た、助けてドラえも~ん!
「それとも、潰しちゃおうかなぁ…?」
わかりました、わかりましたから許してください~!

こうして私はメイドさんを雇うことになったのです。
しかし、この話にはまだ続きがありました。
「では、よろしくお願いしますね、御主人様。」
契約を終え、にっこりと笑うメイドさん。絶望に打ちひしがれる私。
それはもうひどい契約でした。その内容と言えば、
一、御主人様は死傷しても文句言うべからず
一、御主人様はメイドの行いに全責任を負うべし
などなど。逆にメイドさんの方は、
一、メイドは御主人様に誠心誠意奉仕すること
※ただし、御主人様に逆らっても構わない
という、どう考えても御主人様が不利なものでした。
ですが、メイドさんに脅され、虐められ、
逆らう術を持たない私は契約せざるを得なかったのです。
咽び泣くぅ。無力というのは罪なものでした。
メイドさんの手のひらに収まっている地面で、のの字を書く私。
ふと、メイドさんがどこか虚空に向かって誰かを呼びました。
「先輩~、御主人様と契約を結びましたよ~。」
はい?…先輩?どういうことですか。
と思ったら、メイドさんの後ろからメイドさんがもう一人。
こちらはエロ可愛いとでもいう感じで、髪はサラサラのセミロング。
おっぱいは後輩メイドさんよりも大きく、服を圧迫しています。
そんなメイドさんが、顔をずいっと近づけて私を覗き込みました。
「これが御主人様?ちっちゃくて可愛いですぅ。
あ、申し遅れました、私も今日からお世話になりますぅ。
ですので、よろしくお願いしますね~。」
そして頬ずり。後輩メイドさんの手のひらの中で
逃げることも出来ない私に向かって巨大な顔が迫ります。
ひいい、潰されるぅ。でも逃げられない!絶体絶命!
「せ、先輩っ。御主人様が潰れちゃいますよっ。」
「あぅ、そうでしたぁ。」
ナイスフォロー。何とか一命は取り留めました…。
ですが、これからのことを思うと先が思いやられます。
メイドさんが一人でさえ大変そうなのに、二人とは。
僕ちゃんどうなっちゃうの?やっぱり死んじゃうの?
とりあえず、現実逃避することにしました…。
る~ら~ら~。

そして、二人のメイドさんとの生活が始まったのです。
(潰されそうで)ドキドキの共同生活が。


2、恐怖の日々

それからというもの、毎日が恐怖の日々でした。
(半ば脅されて)メイドさんと一緒に住むことになったのですが、
身長差が1000倍もあると、何かと不便…というか危険でした。
不幸が訪れた我が家に代わってメイドさんの家での生活ですが、
メイドさんが歩き回るだけで踏み潰されそうになり、
食事の際はスープに落ちて水没死しそうになったり、
掃除の際は埃と一緒に舞い上げられそうになったり、
スキンシップと称した虐待で潰れそうになったりと、
それはもう想像を絶する、死と隣り合わせの毎日です。
特に、都会から田舎に引っ越すときは地獄でした。
都会では何かと(人類に)危険が多すぎて、
人里離れた山奥に行くことにしたのですが、
私がちまちまと荷物を運び出していると、
「御主人様、遅すぎますよ。私が手伝います。」
と言われ、愛すべき我が家が目の前で摘まみ上げられ、
力加減が悪くてそのままぺしゃんこに潰されたり。
しかし、抗議なんてしようものなら、
「小さすぎるのが悪いんですよぅ。」
などと言われる始末。全然反省なんかしていません。
ああ、我が青春よさらば。還らぬものとなってしまった…。
さらに、地面ごと手のひらに乗せられて移動する際も、
メイドさん達はごく普通に街を踏み荒らしていったので、
国を守るために軍隊が現れ、攻撃してきたり。
手のひらにミサイルが迫ってきて怖かった…。
ですが、メイドさんは意にも介してませんでした。
そこで、田舎に着いた後で攻撃されたことについて聞いてみたら、
全く気付いてなかったとか。何という強さ。
まあ、それはそれでよかったのですが、
「御主人様に危害を加えようなんて…お仕置きしに行きますっ!」
などと言い張って、日本が滅亡しそうな悪寒が…。
確かに危なかったですが、別に怪我もしていないですし、
何より日本の平和を守るため必死の説得をする羽目に。
ああ、恐ろしかった…。こっちが殺されそうなくらいに…。
口は禍の門ってホントでした。身に沁みて感じました。

また、近くの町に買い物に行った時も大変でした。
久し振りにメイドさんから解放されて、のんびりと平和な時間を満喫していると、
突然地響きが何度も発生し、次第に立っていられないほどになりました。
建物の中にいるのですが、商品棚は倒れ、商品は床に散乱して危機的状況です。
犯人は分かっています。ですが、今外に出るとさらに危険な気がするので、
とりあえず屋内でやり過ごそうとしました。これがいけませんでした。
私を探そうとして、なかなか見つからないのに業を煮やしたメイドさんは、
「御主人様、どこにいるんですか。早く出ないと片っ端からこの街を破壊しますよ~♪」
などと言い、四つん這いになると本当に建物をすり潰していったのです。
建物が崩れる音と、その何倍も大きな、地面が削れる音が屋内に轟きます。
ここでようやく私は外に出て叫びましたが、見えるのはスカートに包まれたお尻だけ。
まあ、はしたないこと。どんなしつけを受けてきたのでしょうか。
…などと思っている場合でなかったです、はい。
こうしている間にも絶え間ない破壊音が聞こえてきます。
私は人的な被害が出ていないことを願いつつ、メイドさんのそばに急いで行きました。
そして声を大にして叫びます。パンツ丸見えだぞー、と。
いえ、決して変な意味で言ったわけではないです。
ただ、悪口はよく聞こえると言うじゃないですか。
そしたら、確かに届きました。作戦勝ちというやつですね。
メイドさんはちゃんとこちらを向きました。地獄耳です。
それで、私の方に手を差し伸べます。心なしか、満面の笑みで。
「えっちな御主人様、捕まえましたよ~♪」
摘まみ上げられた私。顔の前まで持ってこられます。
…たった今気づきました。メイドさんは怒っておられました。
握られていた拳が地面に向かって落ちていきます。
凄まじい衝撃。直撃を受けた建物が粉砕された瞬間、
周りの建物もビリビリと震え、崩れ落ちる建物も多々。
呆気に取られる私。それを見て、メイドさんはこう言いました。
「次に見たら、御主人様がこうなりますよ…?」
ひいい。もう二度と見ません、また見るまでは。

そんなことをつい言ってしまったので、
その晩、私はこっぴどく虐められましたとさ。
ああ、恐ろしき日々。


3、平和な日々

(強制的に)私が雇うことになった、身長が1000倍のメイドさん達。
以前住んでいたボロ屋は、移転と称した大破壊で潰され、
今は人里離れた土地に、メイドさんが一緒に持ってきた家に住んでいます。
ポイポイカプセルというのでしょうか。便利なものです。
出来ればメイドさん達もカプセル程の大きさならよかったのですが。
身長は1500m以上ですよ、奥さん。信じられますか。
この前など、メイドさん達は近くの山に腰をおろして談笑していました。
後でわかったことですが、その山は標高が50mほど低くなったそうです。
そんな巨大なメイドさんは基本的には優しいですが、
何といっても大きさがあまりにも違いすぎるので、
私が踏み潰されそうになることもしばしばです。
メイドさんにとっては普通に歩いているだけなのでしょうが。
かくいう今日も、あと少しで踏まれるところでした。
ですが、振動で全身がビリビリと痺れします。
これで何度目でしょうか。命がいくつあっても足りません。
どうせ聞こえないと思うのですが、何か文句でも言おうと見上げます。
…はい、見えました。桃色でした。いや~、絶景ですね。
はて、手が伸びてきましたよ。そして摘み上げられました。
「どこ見ているんですか?えっちなのはいけないと思います。」
顔をぷくっと膨らませて怒っているメイドさん。
私を顔の高さまで持ってきて手のひらに置くと、めっ、とされます。
いや違うのですよ。スカートだから不可抗力というもので…。
それにロングスカートならまだしも、ミニだからよく見えるのですよ。
というか、そもそもメイドさんが大きすぎるので大変なのです。
部屋の一つ一つが城のように大きく、天井は天高くにあります。
家具もまるで山のようで、寝室に忍びたくても叶いません。
家から出るのも一苦労で、普段は車で家の中も外も走りまわっています。
チョロQのような気分です。実際はもっと小さいですが。
それでも、やはりメイドさんの手助けなしでは
まともに生活することなどできません。
もう少し私のことを考えてもらいたいものです。

今も、気がつけばメイドさんの何気ない呼吸で吸い込まれています。
空を飛んでいます。これが綿埃の気持ちというものでしょうか。
そして鼻に吸い込まれ…
「くしゅんっ」
はい、鼻の穴から飛び出しました。吹き飛ばされていきます。
凄い勢いです。絶叫マシンなんて目でないです。
高さ1000m以上の上空からダイブです。当然、パラシュートなどありません。
ああ、これまでの人生が走馬灯のように流れていきます。
儚い人生でした。我が人生に一片の悔いなかったこと無しです。
しかし、目を閉じてこれまでの人生を思い返していると、
運よく柔らかい場所に落ちて助かりました。
とりあえず床に激突は免れたようですが、ここは一体どこで…。
「あん、くすぐったいですよぅ。」
ああそうですか。道理でふかふかだと思ったのですよ。
露出度が高いメイド服で助かりました。
おかげで、今はおっぱいで優しく愛撫されています。
でも、そんなに揺らさなくてもいいと思いますが。
確かに敏感な部位でしょうが、身長が1000分の1しかない人が
上でちょっと動いただけで感じるって、どれだけ感度がいいのですか。
体重でいったら10億分の1ですよ?不思議なものです。
それなら風が当たるだけで気持ちよさそうですが…。
「先輩、御主人様は私と話をしているんです!」
おやおや、私を殺しかけた張本人が何を言ってるのでしょうか。
まずは謝るのが筋ってものですよ?ニホンゴ、ワカリマスカ?
なんて言おうとしたら、思わぬ展開が待っていました。
「御主人様をいつも踏み潰しそうになったり、
ましてや吸い込んじゃう子が何を言ってるのですかぁ?
その点、私なら安全ですよ。御主人様ぁ~♪」
ちょっ、指で胸の谷間に入れられたと思ったら、
手で愛撫なんかして、おっぱいに挟みつけられています。
柔らかいです、気持ちいいですが潰れますよ?
ひいい、潰れます、いやほんと潰れまs(むぎゅ)

「またやっちゃったね、先輩…。」
「あうう、また潰してしまいました。
……アレイズ、アレイズぅ~!!」
光に包まれた世界に行ったと思ったら、現世に戻されました。
「ご、ごめんなさいっ!御主人様っ!!」
そういいながら、また胸を締めつけるのはご愛敬デスカ?
ああ、またあっちの世界から呼ばれてます…。

そして、今日もまた平和な一日が過ぎていったのでした。

 

おしまい?

 

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