ブルマで素足

 

地球上空に突如として現れた、全長数十キロはあろうという超巨大宇宙船。
それ故に真下の街はすっぽりと闇に包まれ、船は遙か遠方からでも眺められるほどであった。
一体これから何が行われようというのか。数百万もの宇宙人が攻め込んでくるのか。
世界中の人々は不安と畏れを感じながらも、固唾を飲んでその成り行きを見守る。
また、近隣諸国の軍隊は不測の事態に備えて動員可能な全兵力を集結させていく。
そんな緊迫した状況の中にあって不気味にも静止していた宇宙船だが、
やがて船底の中心に光球が収束すると、地表に向かって一筋の光線が発せられた。
まさか破壊光線か!? 直感的にそう思うも、あまりの眩しさに目を開けられなくなってしまう人々。
確かに多少大きな衝撃波は来た。だが、熱さも痛みも感じられず、吹き飛ばされることもない。
……どうやら思い違いだったか。ひとまずは助かったようだ。
そう人々が少し安心して恐る恐る目を開いた時、そこには想像を絶する光景が存在した。

彼らの眼前に立ち尽くす、白の体操着に紺色ブルマの美少女。
まだあどけなさの残った可愛らしい顔に似合わず身体はよく発達しており、
ぷるんぷるんな胸は体操着を大きく盛り上げ、むちむちしたお尻はブルマが食い込んでいる。
また、健康的な脚は何も履いておらず、形の整った綺麗な素足を曝け出していた。
男性なら誰しも思わず見とれてしまいそうな魅力を持った彼女だが、人々の目を釘付けにする大きな理由がもう一つあった。
その身長は15000m以上という途方も無いものだったのだ。地球最高峰のエベレストをも超越する大きさである。
そしてそれは彼女にとって人類など微生物レベルの存在でしかないことを意味していた。
現に、彼女が宇宙船から地表にただ降り立っただけで、そのすべすべした足裏の下では
それぞれ数百に上る建物、数千に上る人間が地面ごと圧縮され、地中深くに押し固められていた。

そう、宇宙船に乗っていたのは数百万の宇宙人ではなく、たった一人の美少女だったのだ……。

 

「これが小人の住む星かぁ。なかなか楽しめそうじゃない」

地球とかいう惑星に降り立った私は辺りを一瞥し、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
足元にはぎっしりと密集した街並み。少し先には踝ほどの高さの山々。
何もかもが驚くほど小さく、それでいて故郷の星に似通っている。
今回が初めての『お遊び』だけど、破壊のしがいがあるってものだね。
ちなみに今日の服装は友達に勧められたもので、体操着とブルマという運動スタイル。
これなら動きやすく多少汚れても大丈夫だし、小人を喜ばせられる効果もある……らしい。

(ま、どうせすぐに滅ぼしちゃうけどね)

そう思ってくすくす笑う私。ほとんど見えもしない小人なんて正直どうでもいい。
ただ楽しめそうだったからブルマにしただけ。こんな風に……ね!

ズウウウウウウウウンンンン……

挨拶代わりに勢いよく尻餅をついてやれば、地面は思いの外柔らかかったみたいで、お尻が結構沈み込んでいく。
さすがに小さすぎて建物や小人たちが潰れるのは分からないか。ちょっと残念。
でも、ブルマの下で街が潰れていくって想像するだけで楽しくなっちゃう。
たぶん数百棟くらいが平たくなっているのかな。いや、もっとかも。
ついでにお尻をぐいっと押しつければ、大地が抉れてさらに被害が拡大っと。
脚の付け根を見たら、足指にも満たない建物がどんどん潰れちゃっていた。
ブルマに触れた途端に、ちっぽけな高層ビルは砂の城のようにぼろぼろ崩れ落ち、
工場群も小さな爆発をしたかと思うと次の瞬間にはお尻の下に消えて見えなくなる。
豆粒のようなスタジアムもお尻ですり潰して瞬時に粉砕っ。黒い粒々と一緒に消えちゃった。
繁華街はちょっと体を浮かせてからヒップドロップをお見舞いすれば、
大きなデパートも小さな商店らしき建物もみんな仲良くお尻の下。
ほんの少し動くだけで、何百、何千という建物がブルマの餌食になっていく。

「きゃははっ、みんな潰れちゃえっ!」

早くもヒートアップした私は調子に乗ってどんどんお尻をすりつけちゃう。
オフィス街だろうが工業団地だろうが文字通り木っ端微塵に粉砕。
足の甲ほどの高さしかない山も、私が通過した後には谷になっている。
住宅街も綺麗にすり潰しっ。端から順々に更地へと変えていく。
何百軒ものカラフルな家々が私の動作一つで破壊され、粉砕されちゃう。
そうこうして遊んでいると、やがて火花のようなものが足やブルマの辺りで飛び散った。

(……? ひょっとしてこれは小人の攻撃……なの?)

でも、それにしては何にも感じないし、いくらなんでも弱すぎるよね。
なんて思いながらも、一応確かめるべく発火点らしき地面に顔を近づけてみる。
そしたら凄く小さいながらも戦車らしき物体が見えた。それもかなりの数。
私の人差し指だけじゃ一回で潰せなそう。と言っても手のひらだったら楽勝かな。
まあ、簡単に全滅させるのもなんだし、少しだけお相手してあげよっか。

「あんたたち、一生懸命私に攻撃してるみたいだけど、弱すぎてあくびが出ちゃう。
格の違いがわからないの? ほら、私はこんなに大きいんだよ」

私は嘲るように言ってやると、ブルマをよく叩いてから立ち上がる。
その際、ブルマに付着していた建物の残骸が砂粒の様に払い落ちて、
運良く潰されずに済んでいた街並みに降り注いでいったのは言うまでもないかな。

立ち上がってみたら、小人の軍隊なんか小さすぎて見えなくなっちゃった。
見えるのは街の輪郭ぐらい。それとさっき私がお尻で削った跡。
こうして上から見ると結構な大破壊といったところ。街の大半は赤茶けた色に変わっている。
あまりに大きすぎる私。それに比べてあまりに小さすぎる街並み。
お尻だけでなく素足でも簡単に蹂躙出来ちゃう。
手始めに、踵を地面に着いて大きな駅を含む街の中心を足の裏で覆うと、徐々に爪先も倒していく。
ゆっくりと高い建物から順に、触れた物全てを粉砕していけば、
ほとんど感触もないまま足裏はぺったりと地面にくっついちゃった。
結構黒い粒々がたくさんいたから、数千人くらい潰しちゃったのかな、
なんて考えながら、さらに足を地面に押し付けて何もかもを深く沈み込ませていく。
だけど、まだ軍隊がいると思う場所は潰さない。だってもっと無力感を与えないとね。
必死に攻撃しているのに、悠々と自分たちの街を破壊し続ける私。みたいな感じ?

「ほらぁ、頑張らないと街がどんどん壊れちゃうよ?」

挑発しながらも、軍隊の周りをぐりぐりっと爪先を立てて削り、一応逃げ道を無くしておく。
まあ、小人たちの動いているかどうかも分からない足の遅さじゃ私から逃げられるはずもないんだけどね。
これで攻撃するしかないはず。周りは小人たちにとって深さ数百メートルの断崖絶壁だもんね。
んで、後はその外周を一歩一歩丁寧に、見せつけるように踏み固めていく。
学校二つを一足で踏みつけたり、商店街をさくっと踏みにじったりしながら。
きっとまた大勢の小人が素足の犠牲になっているんだろうなぁ。全然感じないけど。

(でも、私の綺麗な素足に潰されて幸せでしょ)

なんて残酷なことを思いながらもまた一歩、二歩と素足を降ろしていく。
それを数回繰り返せば街はほぼ消滅。足跡とお尻の跡にとって代わっちゃった。

「くすっ。あんたたちがしっかりしないからこの街が無くなっちゃったよ」

さっきまで座っていた場所に戻ってからしゃがみ込んだ私は笑みを浮かべながら唯一残った区画に向かって話しかける。
よくよく見れば、私が歩き回っただけで殆どの建物が崩れているみたいだけど、軍隊はまだ無事みたい。
でも、立派な軍人さんがただの女の子に弄ばれるなんてどんな気持ちかな。
ちょっと前から攻撃は止んでるみたいだけど。もう諦めちゃったの?
情けないなぁ。ひょっとしたら命乞いなんかしてるの? でも、許してあげないっ。

「次はここを潰しちゃうけど、悔しかったら抵抗すれば?
私に何も感触も与えられないんだから、無駄だと思うけど」

完全に馬鹿にした態度。だって本当のことだし、弱すぎるもんね。
だけど、立ち上がって素足を軍隊の真上にかざしても……反応がない。
もっと必死になって抵抗すればちょっとは可愛気があるのに、つまんないの。

「ふーんだ」

少し気分を害した私は立ち上がると素足を軍隊の上に振り下ろし、念入りに踏み躙った。
潰されずに残っていた、小人感覚で半径1km四方の街並みも、ついに素足の餌食に。
すでに崩れていた建物も、まだ崩れていなかった建物もひっくるめて全て粉砕。
そして足を上げてみれば、ぺちゃんこになって地面にめり込んだ戦車が綺麗に並んでいた。
これが無謀にも私に逆らった哀れな軍隊の末路だよ。
後は周りの土砂を素足で掻き集めて、埋葬すればおしまいっ。

 

一つの街を無力な軍隊ごと地下深くに埋めて無人の荒野に変えた私は、
さらに破壊を続けるべく隣の小さな街に数歩で足を踏み入れた。
そして街を遙かなる高みから見下ろしながら、どう料理しようか少し考える。

(ただ踏み潰すのは芸がないし……。そうだ、一度に全部潰しちゃうのはどうかな)

ちょっと良さそうなアイデアを思いついた私はすぐさま膝立ちになった。
脛や膝の下で郊外の田園地帯をまばらに点在する住居ごと削りながら。

「今度はこの街を私の身体で壊してあげる。一瞬でね」

そして死刑宣告をすると、街に向かって勢いよく倒れ込んだ。

ズドオオオオオオオオオオンン……

身体の周りにちょっとした土煙を立てながら、大地をずっしりと沈みこませる私。
宣言通り、数千と敷き詰められていたビルや家屋を胸やお腹、腕や腿で押し潰しちゃう。
それだけでなくたくさんの小人や車、道路といった形あるものはみんな消滅。後には綺麗な大の字の窪地が出来ちゃった。
でも、それだけじゃ満足出来ない私は身体をさらに擦りつけて残った瓦礫も粉々にし、地面も削り取ったり抉り取ったりする。
特に胸を強く擦りつけてみたので、その下に位置していた地面は一層深く円形に沈み込み、
上半身だけ起き上がってみても、その二つの跡はくっきり見えちゃっている。

「きゃはっ、楽しい! さあて、次はどれを壊そっかな」

私は沈み込んだ街の上で、高笑いしながら早くも何か面白いものがないか探してみる。
すると、目に留まったのは大股で十歩ほど向こうにある大都市。
たくさんの超高層ビルが林立して、一際大きな超高層タワーも立っている。
ま、超高層と言っても大抵の建物は私の小指よりずっとちっちゃいんだけど。

(でも、きっと少しは楽しませてくれるよね)

ってことで、途中の街や山河を蹴散らしたり踏み潰したりしながら大都市に侵入。
ぎっしり詰まった街並みには目もくれず、一直線に超高層タワーの隣まで移動すると、
押し潰さないように注意しながら、建物が真ん中に来るよう女の子座りをする。
そして小指をその横に突き刺して高さ比べをしてみたら、小指の方が高く大きかった。

「これが街で一番大きな建物? くすっ、笑っちゃう。
こんなもの小指一本でも簡単に潰せそうだよ。ほら、こうすれば……」

私はそう言いながら小指を超高層タワーの上に持っていき、先端に軽く乗せる。
……それだけで建物はたちまち歪み、力を込めるまでもなく潰れちゃった。
あまりのあっけなさに呆れちゃう。だいぶ期待外れだったみたい。

(やっぱり街全体を使って遊んだ方が楽しいのかな)

そう思った私は立ち上がると、今度はビルが密集している所を狙って歩きだした。
ぐちゃ、ぐちゃっと超高層ビルを踏み潰し、オフィス街を踏み均していく。
時折大きな駅を電車ごと爪先で抉ったり、超高層ビルを足の指で挟んだりしながら。
うん。こっちの方が小人の街がどんどん潰れていくのが分かって楽しいっ。
川に架かっていた大きな橋も、薙ぎ払ったら遠くの住宅街にまで飛んでいって…激突。
地面の上を転がりながら何百戸もの家屋を粉砕してようやく止まった。
海沿いの倉庫も水をちゃぷちゃぷさせて波を立てたら、押し流されちゃう。
さらに波は勢いあまって、楽々防波堤を超えて街を洗い流していく。
私にとっては足をちょっと濡らす程度の水位なのにね。
そんな浅瀬にはたくさんの船が波に煽られて右往左往してる。
中には転覆したり、沈没したり、他の船と衝突したりする船も。
それらを私はまとめて踏み潰し、蹴散らし、爪先で押し沈める。
貨物船が集まっている所にはしゃがみ込んでから息を掛けて吹き飛ばしちゃった。
残った船も、海を足でかき混ぜて波を立てたら飲み込まれていく。
これで視界にある船は全滅。陸もいつの間にか水浸しになって、
沿岸部の建物も洗い流されたり崩れ落ちたりして水没してる。
だけど内陸部は無事みたいなので、水没地帯を一足で跨ぎ越して侵攻すると、
足をうりうりっとねじり込みながら住宅街や雑多な繁華街を破壊していった。

オフィスビルやマンションがびっしり立ち並んでいた大都市。
だけど超高層ビルはすでに全滅し、残った街並みもどんどん私に潰されていく。
足を左右にすり動かしながら進めば、一度に10平方kmくらいが削られ、
その上に乗っかっていた建物という建物は一つ残らず粉砕されちゃう。
そうやって遊んでいたら、突然目の前で物凄く大きな爆発が起きちゃった。

「きゃっ!!」

ズドオオオオオオオオンンン

顔の辺りで爆発したもんだからびっくりして尻餅ついちゃう。
全然熱くも痛くもなかったけど。むしろお尻の方がちょっと痛いかも。
柔らかな地面とはいえ、全体重を預けて思いっきり叩きつけたらさすがにね。
で、お尻をさすりながら辺りをよく見たら、大きなお尻の跡が出来ちゃってる。
おかげで住宅街は半径10km以上に渡って、衝撃波で木端微塵。
もちろんお尻の下でも、たくさんの建物が私の下敷きだよ。
爆発も結構威力がありそうだったけど、この大破壊には敵わないかな。
そんなこんなで立ち上がろうとすると、いつの間にか前方にミサイルが。
振り向いても、左右や後方にもミサイル。囲まれちゃった……?
呆気にとられていると、さらに爆発が数回発生。身体が爆炎に包まれた。
辛うじて原形を留めていた周囲の建物もこの衝撃波で崩れちゃう。
これが小人の渾身の攻撃……なのかな。見えないくらい小さいのによく頑張るなぁ。
なんだか少し感心しちゃう。だけど、お仕置きは必要だね。
私に逆らった罪はこの星よりもずーっと重いんだから。

「……小人のくせに私を驚かすなんて生意気だよ。
でも、必死に戦おうとする心意気は認めてあげる。
ご褒美に私の本当の力をたっぷりと見せつけてあげるね」

そう言って私は笑みを浮かべると、座ったまま腕を胸元でクロスさせ、
目を閉じながらぐっと力を込める。いわゆる変身ポーズってところかな。

「ん~~~えいっ!」

掛け声を上げながら、さらに力を込め、強く念じていく。
すると、全身が次第に熱気を帯びてぽかぽかしてきて、身体がどんどん大地にめり込んでいく感じがする。
ここまでくればもう成功したも同然なので、私は目をちらっと開けてみた。
まだ途中なのに、すでに世界はさっきまでの10分の1以下の大きさしかなく、
さらに小さく小さく…というか私の方がどんどん大きくなっていく。
さっきまで破壊していた街は多くがブルマに飲み込まれていき、ほぼ壊滅状態。
その周辺部も太ももに抉られ、投げ出された足が遠くにあった山脈や街々を押し潰していく。
勢いはそれに留まらず、私はさらに大きく世界はさらに小さくなっていった。

 

巨大化が完了したときには、私の身体は反対側の海にまで達していた。
頭は大気圏を遙かに突き抜けた宇宙。もうこんな星なんて岩塊みたいだよ。
んで、真下を眺めると、今いるのは小さな島だってことが分かる。
大きくなった私の身長ほどの細長い島。私に乗っかられて二つに分かれちゃってる。
きっと立ち上がったら、本当に二つに分断されちゃっているかも。
それと、前方にはさらに小さな菱形の島、後方にも片足サイズの小さな島が二つ。
他にも極小な島がチラホラあるけど、基本的にはこれら四島の集まりかな。
そんな小さい島々は大半が緑に覆われているけど、所々白くなってる箇所もある。
たぶんその一つ一つが小人の街なんだよね。でも、どれも信じられないほどちっちゃいっ。
とりあえず私はその中で大きそうなのを一つ選ぶと、顔をぐっと近づけて話しかける。

「くすっ、こんなに大きくなっちゃった。今の私は小人たちからどんな風に見えてるかな?
顔ぐらいは見える? でも、あまりに大きすぎて全体像なんてわかんないでしょ。
これでもまだ戦う? 小人の街なんか指一本にも勝てなさそうだけど、やってみる?」

私は笑いながら眼下の都市に人差し指を伸ばし、ぐりっと擦りつける。
それだけで街は消滅。そのまま指は地中深くにまで潜っていく。
軽く指先で触れただけなのにね。全然話にもならない弱さだよ。

「きゃはは、弱すぎぃ。お次はこのちっちゃな島を潰しちゃおっかな」

続いて私は左膝の辺りにあった小島を鷲掴みにすると、その場で握り潰す。
島は手の中に楽々収まる大きさしかなかったので、手を開いた時には地下の地盤も含めて跡形も残ってなく、
代わりに海底が指に抉られて五本の大きな溝が出来ていた。

「それじゃあ前座も終わったことだし、今度は全身を使って遊んじゃいまーす」

手を叩いてこびりついた土塊を落としつつそう宣言すると、
まずは身体を少しずつ前に動かしてブルマを大地に擦りつけていく。

(私に逆らったらどうなるかをたっぷりと分からせてあげる。
逆らわなくてもその内潰しちゃうつもりだったけどね)

なんて思いながらも、地下数十kmの深さから上全てを押し出していく。
幅数百kmの細長い島は余すところなく山河や都市ごと股に抉り取られちゃう。
それらがみんな混ぜこぜになって、ブルマの辺りに小さく堆積。
二つになった島のさらに半分が無くなった頃には結構な量になる。
でも、太ももを閉じたらその下の岩盤ごと簡単に圧縮されて粉々に。
後は、M字だった脚を前に伸ばせば、爪先に削られて二つに別れた島の片っぽが完全に消滅。
その先にあった菱形の小さな島も先端部が素足に削り取られちゃう。
さらに、その島は脚を伸ばしたついでに踵で何度か叩きつけたらボコボコに。
すっかり見る影も無くなって可哀想だから、足の裏で優しく丁寧に撫でてあげたら
逆に陸地がなだらかに全部削れちゃって海の下へ。結局私に弄ばれちゃった。
とまあ、これで群島の約半分を沈めた私は、次に脚を引っ込めると座ったまま方向転換する。
そして細長い島の残り半分に向かって、両手を傍らの海に突きながら上半身を倒していく。
最初に胸が大地に触れ、続いて垂れ下がった体操着が島全体に覆い被さる。
私にとっては凄く軽い素材で出来てるのに、平べったくなる大地。
これだけでほとんどの都市は消滅しちゃったかな。試しに裾を持ち上げてみたら山脈もぺったんこ。
そんでもって、改めて上半身をべったり押しつければ島全体が沈み込んじゃう。
けど、私は容赦無く腕を内側に寄せたり、太ももやお腹をすり動かしたり、
胸を擦りつけたりして、跡形も残らないように島を削り取っていく。
そうして一通り破壊を終えて立ち上がってみたら、確かに島は無くなっていた。
それどころか恐らくこの星で一番深く、大きな陥没になっちゃっている。

「あはは。どう、私の身体は? 身にしみるほどたっぷり味わえたでしょ」

思うがままに天地創造が出来て、なんだか楽しくてしょうがない私。
残った二つの小島も、二つまとめて両足で何度もうりうりっと踏み躙っちゃう。
その度に島はどんどん抉れていき、一島は完全に消滅、もう一島も親指ほどの大きさにまですり減っちゃう。
それを足の指で握ろうとしたら、陸地が全部はぎ取れて粉々に。
これで群島は呆気無く、あっという間に一つ残らず消滅しちゃった。

続いて私は隣の大陸にほんの半歩で上陸すると、ずんずん闊歩していく。
数百km離れた場所でもたった一歩でたどり着き、そこに存在していたもの全てを圧搾して地殻と一体化させる。
海岸線には大小たくさんの都市が並んでいたけど、お構いなしに踏み潰しっ。
一踏みで数十もの都市を素足の下に沈み込ませ、時折爪先だけで都市を潰したり、山脈を抉り取ったりもしちゃう。
また、地面に置いた足をちょっと横に動かせば、大きな湖だって余りある土砂で埋没。
反対に島々を薙ぎ払って、海の藻屑にさせちゃったりもする。
それが飽きると、今度は寝転がってローラーみたいに陸地を平たくしていく。
わずかなデコボコがあった大陸が、身体の下でどんどん圧縮されて沈み込んじゃう。
この星できっと一番大きな山脈も全身に押し潰されて消滅しちゃった。
もっとも、私が転がったところは深さ数十kmの巨大な陥没になって、
平たくなるどころかむしろデコボコがずっと大きくなっちゃったけど。
まあ、構わず転がり続けちゃう。街も自然も全てを押し固めながらごろごろっと。
そのままさらに転がれば、山脈を越えた三角形の陸地も……粉砕っ。
その先にあった小島を足の甲ですり潰しながら海まで達しちゃう。
んで、折角海に入ったので、立ち上がると今度は海の上を歩いてみる。
当然、一歩歩くごとに海底が露出するくらい大きな波を立てながら。
くすっ、よく見れば近くの島々が完全に波に飲み込まれちゃっている。
海なんて私にとっては足の裏をほんの少し濡らす程度なのに、世界中が水没する勢い。
このままその様子をただ眺めるだけなのもありかもしれないけど、それじゃ少しつまらないので、
私は波に負けじと素早く別の大陸に移動して、砂漠や草原地帯を国ごと踏み荒らしていく。
とまあ、そんな感じで暴れまわって、数分で一つの大陸を破壊しちゃった。
でも、さすがに星一つ相手となると完全に破壊するのは結構時間がかかりそう。

「なかなかしぶといね。だけど、私にはとっておきがあるんだよ。
危ないからなるべくやるなって言われているけど、あるからには使わないとね。
……そうそう、この大きさが私の本当の力とは言ってなかったよね。
ふふ、これが意味することが分かる? まあ、すぐ目にすることになるけど。
ってことで、泣いても笑ってもこれが最後。いっくよー」

私は邪悪な笑みを浮かべながら、まだ無事な場所に向かってそう言うと、
一旦地面を強く蹴って宇宙空間に出てから、今度は指を組んで念じる。

(大きくな~れ、大きくな~れ)

何だかしょぼいおまじない。だけど、確かに身体が大きくなっていく。
はじめに来た時は私よりずっとずっと大きかった小人の星も相対的にだんだん縮んでいき、
瞬く間にちょうど同じくらいの大きさになっちゃう。

(これで私も惑星大の女の子だよ)

なんて思ってたら、今度は私の方が大きく大きくなっていく。
小人の星なんてそれこそ小惑星から大玉サイズに、大玉から小玉みたいな大きさに。
巨大化が完了したときにはもう楽々両手で挟める大きさしかなかった。
そんな小人の星を私は優しく掴み取ると、お別れのキスをする。
たったそれだけで大陸が一つ消えちゃったけど、もはやどうでもいいこと。
どうせ、遅かれ早かれ私に潰される運命だもんね。

「少し楽しませてもらったけど、これでもうおしまいだよ。
このまま握り潰してあげてもいいけど、せっかくだから、
最後は太ももで優しく挟んであげる。それじゃ、ばいばいっ」

そして私は用済みとなった星を両脚でしっかりと挟み込んでいく。
少しずつ力を加えていけば、太ももがめり込んでいって小人の星は丸い球体から楕円形になり、
さらに力を加えれば、耐えきれずに弾けると同時に残骸の大半が押し潰れてぺちゃんこになっちゃった。
残りも両手で掻き集めてから改めて太ももで挟み込めば粉微塵に。
私がさっきまで遊んでいた星が、たった今この瞬間に失われたんだよ。

「きゃはは、太ももの間で小人の星が潰れちゃった!
もう跡形もないよ。さっきまで小人が何十億と溢れていたのにね。
ふふ…ふふふ…きゃはははは!!! 私って神様みたい!!」

壮大な破壊をやってのけて、大いに満足する私。

「んじゃ、小人の星も潰れたことだし、帰ろうかな」

 

 

……とその時、私は重大な事実に気がついた。

(そういえば宇宙船を小人の星の上空に待機させていたから……)

「あ~~~~!!」

太ももに目をやれば、そこには星の残骸に混じって宇宙船の残骸が。

(ど、どうしよう……。まさか自分で潰しちゃうなんて!)

と思っても後悔先に立たず。宇宙船は物の見事に潰れちゃってる。
これでは直すことも助けを呼ぶこともできず、独り宇宙を放浪することが決定。

「もう、こうなったら片っぱしからちっぽけな星を滅ぼしちゃうんだから!!」

 

 

 

なんて威勢のいいことを言ってみたけど、一つの星系を消滅させたところで結局体力が続かずダウン。
お空の星となる……かと思ったけど、後から心配してやってきた友達に助けられましたとさ。

「もう、これに懲りたら再巨大化なんてやっちゃだめだよ」
「はーい……」

 

おしまい

 

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