ブルマで素足
地球上空に突如として現れた宇宙船。それも全長数十キロはあろうという長大さ。
それ故に真下の街はすっぽりと闇に包まれ、船は遙か遠くからでも眺められるほどであった。
一体これから何が行われようというのか。数百万もの宇宙人が攻め込んでくるのか。
人々は不安と畏れを感じながらも、固唾を飲んでその成り行きを見守る。
軍は不測の事態に備えて動員可能な全兵力を集結させていく。
そんな緊迫した状況の中にあって微動だにしなかった宇宙船だが、
やがて船底の中心が閃くと、地表に向かって一筋の光線が発せられた。
破壊光線か…!刹那そう思うも、あまりの眩しさに人々は目を閉じてしまう。
確かに少し大きな衝撃波は来た。…一回だけ。どうやら違ったようだ。
しかし人々が恐る恐る目を開いた時、そこには想像を絶する光景が存在した。
紺のブルマ姿の玲奈。腰までかかる長い髪が美しい少女だ。
顔は端整なものの、まだあどけなさが残っており可愛らしい。
胸は年の割に程よく膨らみ、体操着に二つの盛り上がりを作っている。
ブルマが食い込んだお尻の肉付きもよく、太ももはいかにも柔らかそうだ。
足は裸足だが、よく手入れされていて綺麗な印象さえ覚える。
しかし、そんな彼女は身長が16000mもある超巨大な少女なのだ。
エベレストを超越する大きさ。彼女にとっては人類など微生物でしかない。
現に彼女の足の裏では片足だけで数百に上る建物が地面ごと圧縮され、
地中深くに押し固められていた。ただ彼女が何気なく着陸しただけで。
そう、宇宙船に乗っていたのは数百万の宇宙人ではなく、たった一人の少女だったのだ…
「これが小人の住む星かぁ。なかなか楽しめそうじゃない。」
真下の街に降り立った私は辺りを一瞥し、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
足元にはぎっしりと密集した街並み。少し先には踝ほどの高さの山。
何もかもが驚くほど小さく、それでいて故郷の星に似通っている。
今回が初めての『お遊び』だけど、破壊のしがいがあるってものだね。
ちなみにこの格好は友達に勧められたもので、ちょっとした意味があるみたい。
動きやすいように体操着とブルマ。水に浸かってもいいように素足。
それだけじゃなく小人を喜ばせられる効果もある…らしい。
(ま、どうせすぐに滅ぼしちゃうけどね)
私はくすくすっと笑う。見えもしない小人なんて正直どうでもいい。
ただ楽しめそうだったからブルマにしただけ。こんな風に…ね。
ズウウウウウウウウンンンン……
勢いよく尻餅をついてみた私。地面は思いの外柔らかく、お尻が結構沈み込む。
さすがに小さすぎて建物が潰れるのはわからないか。ちょっと残念。
でも、ブルマの下で街が潰れていくって想像するだけで楽しくなっちゃう。
たぶん数百棟が平たくなってるのかな。いや、もっとかも。
それにお尻を擦りつければ、大地がえぐれてさらに被害が拡大。
脚の付け根を見たら、1cmにも満たない建物がどんどん潰れちゃってる。
ブルマに触れた途端に、高層ビルは砂の城のようにぼろぼろ崩れ落ち、
工場群も小さな爆発をしたかと思うと次の瞬間には見えなくなる。
豆粒のようなスタジアムも瞬時に…粉砕っ。黒い粒々と一緒に消えちゃった。
繁華街はちょっと体を浮かせてからヒップドロップをお見舞い。
1cm以上ある建物も、1mmしかない建物もみんな仲良くお尻の下。
ほんの少し動くだけで、何百、何千という建物がブルマの餌食になっていく。
「きゃははっ、みんな潰れちゃえっ!」
早くもヒートアップした私は調子に乗ってどんどんお尻を擦りつけた。
マンションだろうがオフィスビルだろうが文字通り粉砕。
足の甲ほどの高さしかない山も、次の瞬間には谷になってる。
住宅街も綺麗にすり潰しっ。端から順々に更地へと変えていく。
何百軒ものカラフルな家々が私の動作一つで破壊され、粉砕される。
と、その時火花のようなものが足、そしてブルマの辺りで飛び散った。
(……?ひょっとして小人の攻撃…なの…?)
でも、それにしては何にも感じないし、いくらなんでも弱すぎるよね。
なんて思いながらも、一応確かめるべく地面に顔を近づけてみる。
そしたら凄く小さいながらも戦車や装甲車らしき物体が見えた。
それもかなりの数。私の人差し指だけじゃ一回で潰せなそう。
と言っても手のひらだったら楽勝かな。お釣りがたくさん来そうだけど。
まあ、簡単に全滅させるのもなんだし、少しだけお相手してあげよっか。
「弱すぎるくせに私に攻撃してるみたいだけど、いただけないね。
格の違いがわからないの?ほら、私はこんなに大きいんだよ。」
嘲るように言うと、私はブルマをよく叩いてから立ち上がった。
その際、ブルマに付着していた建物の成れ果てが砂粒の様に払い落されて、
運よく潰されずに済んだ街並みに降り注いだのは言うまでもないかな。
立ち上がってみたら、小人の軍隊なんか小さすぎて見えなくなっちゃった。
見えるのは街の輪郭ぐらい。それとさっき私が削ったお尻の跡。
上から見下ろしたら結構な大破壊。街の大半は赤茶けた色に変わっていた。
あまりに大きすぎる私。それに比べてあまりに小さすぎる街並み。
お尻を動かすまでもなく、素足だけでも街を蹂躙しちゃう。
手始めに、踵を地面につけて駅を含む街の中心を足の裏で覆うと、
徐々に足を降ろしていく。高い建物から順に、触れたもの全てを粉砕しながら。
わずかな抵抗もなく、足の裏はぴったりと地面を踏みしめ、100m以上沈み込ませた。
けど、まだ軍隊がいると思う場所は潰さない。もっと無力感を与えないとね。
必死に攻撃してるのに、悠々と自分たちの街を破壊し続ける私。みたいな感じ?
「ほらぁ、頑張らないと街がどんどん壊れちゃうよ?」
挑発しながらも、軍隊の周りをぐりぐりっと爪先を立てて削り、逃げ道を無くしておく。
これで攻撃するしかないはず。周りは深さ数百メートルの断崖絶壁だもんね。
んで、後はその外周を一歩一歩丁寧に、見せつけるように踏み固めていく。
学校二つを一足で踏みつけたり、商店街をさくっと踏みにじったりしながら。
きっと大勢の小人が素足の犠牲になってるんだろうなぁ。全然わからないけど。
(でも、私の綺麗な素足に潰されて幸せでしょ)
なんて残酷なことを思いながらもまた一歩、二歩と素足を降ろしていく。
それを数回繰り返せば街はほぼ消滅。足跡とお尻の跡にとって代わっちゃった。
「くすっ。君達がしっかりしないからこの街が無くなっちゃったよ。」
しゃがみ込んだ私は笑みを浮かべながら、唯一残った区画に向かって話しかける。
よくよく見れば、私が歩き回っただけで殆どの建物が崩れてるみたいだけど、
軍隊はまだ無事みたい。でも、女の子に弄ばれるなんてどんな気持ちかな。
ちょっと前から攻撃は止んでるみたいだけど。もう諦めちゃったの?
情けないなぁ。ひょっとしたら命乞いなんかしてるの?でも、許してあげないっ。
「次はここを潰しちゃうけど、悔しかったら抵抗すれば?
私に何ら感触も与えられないんだから、無駄だと思うけど。」
まるっきり見下した態度。だって本当のことだし、弱すぎるもんね。
けど、立ち上がって素足を軍隊の真上にかざしても…反応がない。
もっと必死になって抵抗すれば可愛気があるのに、つまんないの。
「ふん。」
少し気分を害した私は足を地面に振り下ろし、念入りに踏み躙った。
潰されずに残っていた半径1km四方の街並みも、ついに素足の餌食に。
すでに崩れていた建物も、まだ崩れていなかった建物もすべて粉砕。
そして足を上げれば、ぺしゃんこになって地面にめり込んだ兵器がたくさん。
戦車は綺麗に並んだまま潰れ、装甲車は平べったくなっちゃってる。
足跡自体は深さ500mぐらいありそう。これが哀れな軍隊の末路だよ。
あとは周りの大地を素足でえぐって、埋葬すればおしまいっ。
一つの街を無力な軍隊ごと地下深くに埋めて無人の荒野に変えた私は、
さらに破壊を続けるべく隣の小さな街に数歩で足を踏み入れた。
その街を遙かなる高みから見下ろして、どう料理しようか少し考える。
(ただ踏み潰すのは芸がないし…。一回で全部潰しちゃうのはどうかな)
良さそうなアイデアを思いついた私はすぐさま膝立ちになった。
街を長さ4km、幅数500m以上の範囲に渡って削りながら。
「今度はこの街を私の身体で壊してあげる。一瞬でね。」
一応死の宣告をしてから、街に向かって勢いよく倒れ込んだ。
ズゴオオオオオオオオオオンン
身体の周りに大量の砂埃を立てながら、大地をずっしりと沈みこませる私。
その言葉通り、間髪入れずに建物という建物はお腹や胸で押し潰しちゃう。
数万棟あったビルやマンション、民家といった形あるものは全て消滅。
あとには深さ500m以上の、私の身体の形をした窪地が出来ちゃった。
だけど、それだけじゃ満足できない私は身体をさらに擦りつけて
瓦礫すら粉々にし、地面も削り取ったりえぐり取ったりする。
特に胸を強く擦りつけたので、窪地には一層深い二つの円形クレーター。
上半身だけ起き上がってみても、その跡はくっきり見えちゃってる。
別に構わないけどね。気持ち良ければなんだっていいんだよ。
「きゃはっ、楽しい!次はどれを壊そうかな。」
私は沈み込んだ街の上で、笑いながら何か面白いものがないか探してみる。
すると、ちょっと先に超高層ビルが林立する大都市が目に入った。
さらにその中でも一際大きなタワーを発見。と言っても小指より小さそうだけど。
(でも、少しは楽しませてくれるよね)
ってことで途中の街や山河を蹴散らしたり踏み潰したりしながら大都市に侵入。
ぎっしり詰まった建物には目もくれず、一直線にタワーの隣まで移動すると、
潰さないように注意しながら、タワーが真ん中に来るよう女の子座りをする。
案の定、小指をタワーの横に突き刺して高さ比べをしたら小指の方が大きかった。
「これが街で一番大きな建物?くすっ、笑っちゃう。
小指一本でも潰せちゃいそうだよ。ほら、こうすれば…」
そう言いながら小指をタワーの上に持っていき、先端に軽く乗せる。
それだけでタワーは歪み、力を込めるまでもなく潰れちゃった。
あまりのあっけなさに呆れる私。だいぶ期待外れだったみたい。
(やっぱり街全体を使って遊んだ方が楽しいのかな)
そう思った私は立ち上がると、今度はビルが密集している所を狙って歩きだした。
ぐちゃ、ぐちゃっと超高層ビルを踏み潰し、オフィス街を踏み均していく。
時々大きな駅を爪先でえぐったり、超高層ビルを足の指で挟んだりしながら。
うん。こっちの方が小人の街が潰れるのがわかって楽しいっ。
大きな橋も、薙ぎ払ったら遠くの住宅街にまで飛んでいって…激突。
地面の上を滑りながら何百軒もの家屋を粉砕してようやく止まった。
海沿いの倉庫も水をちゃぷちゃぷさせて波を立てたら、押し流されちゃう。
さらに波は勢いあまって、楽々防波堤を超えて街を洗い流していく。
私にとっては足をちょっと濡らす程度の水位なのにね。
そんな浅瀬にはたくさんの船が波に煽られて右往左往してる。
中には転覆したり、沈没したり、他の船と衝突したりする船も。
それらを私は一隻一隻確実に踏み潰し、爪先で押し沈める。
貨物船が集まっている所には息を掛けて吹き飛ばしちゃった。
残った船も、海を足でかき混ぜて波を立てたら飲み込まれていく。
これで視界にある船は全滅。陸も水浸しで海岸線は波に削られ、
沿岸部の建物も洗い流されたり崩れ落ちたりして水没してる。
だけど内陸部は無事みたいなので、水没地帯を一足で跨ぎ越して侵入。
足をうりうりっとねじり込みながら住宅街や雑多な繁華街を破壊していった。
オフィスビルやマンションがびっしり立ち並んでいた大都市。
だけど超高層ビルは全滅し、街自体もどんどん私に潰されていく。
足を左右に擦り動かしながら進めば、一度に10平方kmくらいが削られ、
その上に乗っかっていた建物という建物は例外なく粉砕されちゃう。
そうやって遊んでいたら、突然目の前で物凄く大きな爆発が起きちゃった。
「きゃっ!!」
ズドオオオオオオオオンンン
顔の辺りで爆発したもんだからびっくりして尻餅ついちゃう。
全然熱くも痛くもなかったけど。むしろお尻の方がちょっと痛いかも。
思いっきり叩きつけちゃって、大きなお尻の跡が出来ちゃってる。
おかげで住宅街は半径10km以上に渡って、衝撃波で木端微塵。
もちろんお尻の下でも、たくさんの建物が私の下敷きだよ。
爆発も結構威力がありそうだったけど、この大破壊には敵わないね。
でも、立ち上がろうとすると、いつの間にか前方にミサイルが。
振り向いても、左右や後方にもミサイル。囲まれちゃった…?
呆気にとられていると、さらに爆発が数回発生。身体が爆炎に包まれた。
辛うじて原形を留めていた建物もこの衝撃波で崩れちゃう。
これが小人の渾身の攻撃…なのかな。小さいのによく頑張るなぁ。
なんだか少し感心しちゃう。だけど、お仕置きは必要だね。
私に逆らった罪はこの星よりずっと重いんだから。
「小人のくせに私を驚かすなんて生意気だよ。
でも、必死に戦おうとする心意気は認めてあげる。
ご褒美に私の本当の力を見せてあげるね。」
そう言って笑みを浮かべると、私は座ったまま腕を胸元でクロスさせ、
目を閉じながらぐっと力を込める。いわゆる変身ポーズだね。
「ん~~~えいっ!」
私は掛け声を上げながら、さらに力を込め、強く念じていく。
すると、全身が次第に熱気を帯びてぽかぽかしてきて、
身体がどんどん大地にめり込んでいく感じがする。
ここまでくればもう大丈夫なので、私は目をちらっと開けてみた。
まだ途中なのに、すでに世界は10分の1以下の大きさしかなく、さらに小さくなっている。
さっきまで破壊していた街は多くがブルマに飲み込まれ、ほぼ壊滅状態。
その周辺部も太ももにえぐられ、右足は海にまで達しちゃってる。
左足も遠くにあった山脈を脛で削り取っていき、遂には脛の下に埋めちゃう。
勢いはそれに留まらず、世界はさらに小さく、小さくなっていった。
巨大化が完了したときには、私の身体は反対側の海にまで達していた。
頭は大気圏を遙かに突き抜けた宇宙。もうこんな星なんて岩塊みたいだよ。
んで、真下を眺めると、さっきいたのは小さな島だったことがわかる。
細長い、私の身体ほどの島。私に乗っかられて二つに分かれちゃってる。
きっと立ち上がったら、本当に二つに分裂しちゃっていそう。
それと、前にはさらに小さな島、後ろにもお尻サイズの小さな島が二つ。
他にも極小な島がチラホラあるけど、基本的には四島の集まりかな。
そんな小さい島々は緑に覆われているけど、所々白くなってる箇所が。
たぶん小人の街なんだよね。でも、一つ一つが信じられないほどちっちゃいっ。
私はその中で大きそうなのを一つ選ぶと、顔を近づけて話しかける。
「くす、こんなに大きくなっちゃった。下からはどんな風に見えてるかな?
顔ぐらいは見える?でも、あまりに大きすぎて全体像なんてわかんないでしょ。
それでも戦う?指一本にも勝てなさそうだけど、やってみる?」
私は笑いながら眼下の都市に人差し指を伸ばし、ぐりっと擦りつける。
それだけで街は消滅。そのまま指は地中深くにまで潜っていく。
軽く指先で触れただけなのにね。全然話にもならない弱さだよ。
「きゃはは、弱すぎぃ。お次はこのちっちゃな島を潰しちゃおっ。」
続いて左膝のあたりにあった小島を鷲掴みにすると、そのまま握り潰す。
島は手の中に楽々収まる大きさしかなかったので、手を開いた時には
地下の地盤も含めて跡形も残ってなく、代わりに指にえぐられて溝が出来てた。
「それじゃあ前座も終わったことだし、今度は全身を使って遊んじゃうよ。」
そう言うと、まずはブルマを大地に擦りつけていく。何度も何度も。
(私に逆らったらどうなるかをたっぷりと分からせてあげる。
逆らわなくてもその内潰しちゃうつもりだったけどね)
なんて思いながらも、地下数十kmの深さから上すべてを押し出していく。
身体を少しずつ前に出していったので、幅数百kmの細長い島は
上に乗っかっている山脈や川、都市ごと股にえぐり取られちゃう。
それらがみんな混ぜこぜになって、ブルマの辺りに堆積。
島の半分のうちのさらに半分が無くなった頃には結構な量になる。
とは言え、太ももを閉じたら島ごと圧縮されて薄っぺらに。
あとは、M字だった脚を伸ばせば、爪先に削られて島の半分が完全に消滅。
その先にあった一回り小さな島も先端部が素足に削り取られちゃう。
さらに、その島は脚を伸ばしたついでに踵で叩きつけたらデコボコだらけに。
見る影も無くなって可哀想だから、足の裏で優しく丁寧に撫でてあげたけど、
逆に陸地がなだらかに全部削れちゃって海の下。結局私に弄ばれちゃった。
とまあ、これで約半分を沈めた私は、次に脚を引っ込めると座ったまま方向転換する。
その先にはまだ無事な細長い島の半分。そこに向かって上半身を倒していく。
最初に胸が大地に触れ、次の瞬間には体操着が島全体に覆い被さる。
私にとっては凄く軽い素材で出来てるのに、平べったくなる大地。
これでほとんどの都市は全滅しちゃったかな。山脈もぺしゃんこ。
そんでもって、身体を押しつければ島全体が沈み込んじゃう。
けど、私は腕を内側に寄せたり、太ももやお腹をすり動かしたり、
胸を擦りつけたりして、跡も残らないように島を削り取っていく。
一通り破壊を終えて立ち上がってみたら、確かに島は無くなっていた。
それどころかこの星で一番深く、大きな陥没になっちゃってる。
「どう、私の身体は?身にしみるほど味わえたでしょ。」
思うがままに天地創造が出来て、なんだか楽しくてしょうがない私。
残った二つの島も、素足で何度もうりうりっと踏み躙っちゃう。
その度にお尻ほどの大きさしかない島はどんどんえぐれていき、
一島は完全に足の下、もう一島も親指ほどの大きさにまですり減っちゃう。
それを足の指で握ろうとしたら、陸地が全部はぎ取られて水没。
これで群島はあっけなく、一つ残らず消滅しちゃった。
続けて私は大陸にほんの半歩で上陸。そして闊歩。
数百キロ離れた場所でもたった一歩でたどり着き、
そこに存在していたもの全てを圧搾して地殻と一体化させる。
海岸線には都市がたくさん並んでいたけど、踏み潰しっ。
一踏みで数十もの都市を素足の下に潜り込ませていく。
時折爪先だけで都市を潰したり、山脈をえぐり取ったりもしちゃう。
また、地面に置いた足をちょっと動かせば、湖だって土砂で埋没。
反対に小島を薙ぎ払って、海の藻屑にさせちゃったりもする。
それが飽きると、今度は寝転がってローラーみたいに陸地を平たくしていく。
わずかなデコボコがあった大陸が、どんどん圧縮されて沈み込んじゃう。
この星で一番大きな山脈も私の下。全身に押し潰されちゃった。
もっとも、私が転がったところは深さ数十kmの巨大な穴ぼこになって、
平たくなるどころかむしろデコボコが大きくなっちゃったけど。
まあ、構わず転がり続けちゃう。全てを押し固めながらごろごろっと。
そのままさらに転がれば、山脈を越えた三角形の陸地も…粉砕。
その先にあった小島を足の甲ですり潰しながら海まで達しちゃう。
んで、折角海に入ったので今度は海の上を歩いていく。
当然大きな波を立てながら。くす、近くの島々が波に飲み込まれてる。
海なんて私にとっては足の裏を濡らす程度なのに、世界中が水没する勢い。
私は波に負けじと隣の大陸に移動して、砂漠や草原を踏み荒らしていく。
とまあ、そんな感じで暴れまわって、数分で一つの大陸を破壊した。
でも、さすがに星ひとつ相手となると結構時間がかかりそう。
「なかなかしぶといね。だけど、私にはとっておきがあるんだよ。
なるべく使うなとは言われてるけど…あるからには使わないとね。
ってことで、泣いても笑ってもこれが最後だよ。」
私は邪悪な笑みを浮かべながら、まだ無事な場所に向かって言い放つと、
一旦地面を強く蹴って宇宙空間に出てから、今度は指を組んで念じる。
(大きくな~れ、大きくな~れ)
何だかしょぼいおまじない。けど、確かに身体が大きくなっていく。
はじめに来た時は私よりずっとずっと大きかった小人の星が
徐々に縮んでいき、いつの間にかちょうど同じ大きさになっちゃう。
(これで私も惑星大の女の子だよ)
なんて思ってたら、今度は私の方が大きく大きくなっていく。
小人の星なんてそれこそ小惑星から大玉に、大玉から風船大の大きさに。
巨大化が完了したときにはもう楽々抱えられちゃう大きさしかなかった。
そんな小人の星を優しく手で持ち抱えると、お別れのキスをする。
たったそれだけで大陸が一つ消えちゃったけど、お構いなし。
どうせ、遅かれ早かれ私に潰される運命だもんね。
「少し楽しませてもらったけど、これでもうおしまいだよ。
このまま握り潰してあげてもいいけど、ちょっと可哀想だし、
最後は太ももで優しく挟んであげる。それじゃ、ばいばいっ。」
そう言って、私は用済みとなった星を脚でしっかりと抱き込む。
すでに変形しちゃってるけど、構わず少しずつ力を加えていけば、
太ももがめり込んでいって小人の星は丸い球体から楕円形に。
さらに力を加えれば、耐えきれずにぺったんこ。完全に潰れちゃった。
さっきまで私が遊んでいた星が、たった今この瞬間に失われたんだよ。
「きゃはは、太ももの間で小人の星が潰れちゃった!
もう跡形もないよ。さっきまで小人で溢れていたのにね。
ふふ…ふふふ…きゃはははは!!!私って神様みたい!!」
壮大な破壊をやってのけて、大いに満足する私。
「んじゃ、小人の星も潰れたことだし、帰ろうかな。」
…とその時、私は重大なことに気がついた。
(そういえば宇宙船を小人の星の上空に待機させていたから……)
「あ~~~~!!」
太ももに目をやれば、そこには星の残骸に混じって宇宙船の残骸が。
(ど、どうしよう…。まさか自分で潰しちゃうなんて…!)
と思っても後悔先に立たず。宇宙船は物の見事に潰れちゃってる。
助けを呼ぶこともできず、独り宇宙を放浪することが決定。
「もう、こうなったら片っぱしから星を滅ぼしちゃうんだから!!」
なんて威勢のいいことを言ってみたけど、結局体力が続かずダウン。
お空の星となる…かと思ったけど、あとからやってきた友達に助けられましたとさ。
おしまい
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